火を起こしてから芋が焼きあがるまでに2時間以上かかりますが、ところどころ焼き加減が違うムラが、薪の魅力だといいます。
ただし、扱いには手間がかかります。
出発してからすぐに、路肩に車をとめた安喜さん。
芋をひっくり返しはじめました。
熱くなった石の上にある芋は、10分ごとに向きや場所を変えないと、焦げてしまいます。
さらに、芋自体もデリケートで、保管しておく際に温度が低すぎると、味が落ちてしまいます。
安喜正紀さん:
「電気マットとかをいくつかとりつけて、10度以下になってきたらちょっと強めたりだとか、光熱費も最近高いんで、僕は毛布にくるまってもうほんと『お芋様』ですね」
山口県出身の安喜さん。
大学時代に人力車を引くアルバイトをしていましたが、10年前、知人から軽井沢でやってみないかと誘われ、移住を決めました。
焼き芋を始めたのは6年前。
冬場に人力車の仕事がなくなってしまうこともあり、知人の焼き芋屋さんの話を聞いて、この仕事に人力車と共通する、ある魅力を感じたといいます。
安喜正紀さん:
「いろんなことを知るのも好きで、それを誰かに伝えるのも好きで、人と人が直接かかわる仕事にも興味があった。この焼き芋屋さんていうのも、自分で見てお金払って、仕入れをして焼いて食べてもらって、また買いに来てくれて。目に見える形で人のありがたみがわかるので、やっててやりがいはあるなとは思いますね」
人力車の仕事が最盛期を迎える夏場以外は、週に4日東信地方をまわり、1日30本から40本を販売しています。