「少数派の上に多数派が圧力をかけ続けていいのか」

――沖縄県外に住む私たちは、この映画、そして沖縄の問題を、どのような視点で見るべきでしょうか。

佐古監督「民主主義は多数決で物事が決まります。しかし、日本の人口比でいうと沖縄は1%で、残りの99%が沖縄県外です。もし両者の意見が全く噛み合わなければ、沖縄での工事はずっと続くわけです。民主主義だからといって、少数派の上に多数派がずっと圧力をかけ続けていいのか。それが本当に民主的と言えるのか。沖縄はそのありようを、ずっとこの国に問い続けているのだと思います」

佐古監督「だからこそ、この問題を放置してきた多数派、つまり沖縄県外の人たちが、この映画をどう見るのか。そこを問いかけたいと思っています」

---

映画「太陽の運命」は、熊本市のDenkikanで7月24日まで上映中です。

【監督 佐古忠彦さん】プロフィール
(映画『太陽(ティダ)の運命』公式サイトより引用)

1988年、東京放送(TBS)にスポーツアナウンサーとして入社。スポーツ中継・スポーツニュース番組を担当した後、1994年報道担当に。1996年から「筑紫哲也NEWS23」でキャスターを務める傍ら、ディレクターとして沖縄、戦争、基地問題などを主なテーマに特集制作。2006年から政治部で民主党や防衛省、デスクなどを担当、その後もキャスターを務めながら、ドキュメンタリー制作を続ける。

2016年「米軍が最も恐れた男~あなたはカメジローを知っていますか」でギャラクシー賞奨励賞。

追加取材を経た劇場用映画初監督作品「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー」(2017)で文化庁映画賞文化記録映画優秀賞、米国際フィルム・ビデオフェスティバルドキュメンタリー歴史部門銅賞、日本映画ペンクラブ賞文化部門1位など受賞。続編となる「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯」(2019)で平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞受賞。

2021年「生きろ 島田叡‐戦中最後の沖縄県知事」、2025年「太陽(ティダ)の運命」発表。近年は「報道特集」で沖縄、戦争、政治などを主なテーマに特集制作を続けている。

昨年7月、今作との連動作品「沖縄県知事 苦悩と相剋の果てに」(RBCテレビ)を制作した。著書に「米軍が恐れた不屈の男 瀬長亀次郎の生涯」(2018講談社) 「いま沖縄をどう語るか(共著)」(2024高文研)。