立場を超えて重なる2人の知事の姿

翁長雄志知事(左)大田昌秀知事(右)

――具体的には、どのような点が重なっていったのでしょうか。

佐古監督「大田さんの時も翁長さんの時も、アメリカ兵による女性暴行事件が起きました。そして、大田さんは軍用地を強制使用するための代理署名を拒否して国に訴えられ、翁長さんも辺野古の埋め立て承認を取り消したことで国に訴えられた。『被告になった知事』という点でも共通しています」

佐古監督「翁長さんは知事になり、国と向き合う中で、かつて自分が批判した大田さんが何と戦っていたのかに気づいていったのではないでしょうか」 

「基地問題は人権問題。その戦いは今も続いている」

――映画を見て、沖縄の基地問題は、単なる政治問題ではなく、沖縄の人々の人権をめぐる問題なのだと改めて感じました。

佐古監督「まさに、今おっしゃった人権について、大田さんも翁長さんも全く同じ指摘をします。基地問題というと政治的な問題と捉えられがちですが、沖縄にとっては生活の問題です。戦後、アメリカに占領され人権が保障されない時代が長く続きました。その人権を取り戻そうと戦ってきたのが、沖縄の戦後史なんです」

佐古監督「現代に至っても、この2人が『基地問題は人権問題なんだ』と訴えている。これも共通点です。沖縄の人権を取り戻す戦いは今も続いている。その部分を、この映画を見て感じていただけたらと思います」