◆謎が謎を呼ぶ展開…きわどいエロスも

でも「歌雪姫」とは、一体誰なのか? 舞台にいつまでも出てこないんです。「7人のこびとーず」と言うのに、6人しかいない。「7人目はどうなってるんだろう?」と謎を呼びながらストーリーは展開していくんですが、その間に様々なパフォーマーが入ってきます。障害のある方、ない方……女性がきれいなボディーラインを見せたり、驚くようなエロスも入ってきたりして、今までの「まぜこぜ一座」の舞台で一番エッジがかなり効いている気がしました。

◆心を打つ叫び……車いすダンサーとともに

このラップは、コミュニケーション能力に障害が起きている「自閉症」を持つ青年、GOMESSです。

あなたのことを思いながら 俺は言葉を探し続けている
影が延びていくと同時に 俺は光を怖がるようになり
また誰かが正しいと言ったそれを 呪いだと思い
俺はのろいスピードのまま 地の上を歩く
空には決して追いつけないだろう

しかしあなたが星屑に変わってしまう頃
俺は現実に生きていたことを思い出す
今呼吸をしているのになぜ 生きてるのに

Life time you living
Life time you living
Life time you living
今 生きる それが歌になる

明日には忘れる 昨日には死んでる
明日には忘れる 今を歌える
明日には忘れる 昨日には死んでる
今に you living for the poetry

◆フェイクやデマへの明確なメッセージ

歌雪姫が誰なのか、7人目の小人は誰なのか――。謎が明かされると、「え!」と思います。そのメッセージ性がすごく強い。ネット上のフェイクニュース、デマに対する明確なメッセージだからです。そしてクライマックスがきます。

いくら泣いても あとの祭りよ
わっしょい わっしょい
MAZEKOZE!

にぎやかに、華やかにエンディングを迎えていきます。会場では映像を撮影していました。いずれ映画のような形で公開する可能性があるので撮影しているというので、楽しみだなと思いました。
東さんたちの活動についてご興味のある方は、YouTubeで「MAZEKOZEアイランドツアー」と検索すると見ることができます。東京オリンピック・パラリンピックの際に、日本から世界に発信する公式映像として、東さんたちが企画して制作した映像です。


神戸金史(かんべ・かねぶみ)
1967年生まれ。毎日新聞に入社直後、雲仙噴火災害に遭遇。福岡、東京の社会部で勤務した後、2005年にRKBに転職。東京報道部時代に「やまゆり園」障害者殺傷事件を取材してラジオドキュメンタリー『SCRATCH 差別と平成』やテレビ『イントレランスの時代』を制作した。最新作は、東ちづるさんの活動に密着した長編ドキュメンタリー「まぜこぜちづる」。