俳優の東ちづるさんが率いる「まぜこぜ一座」の公演『歌雪姫と七人のこびとーず』が3月5日、東京・渋谷で1日限りの幕を上げた。車いすのダンサーや性的少数者など、様々なマイノリティがパフォーマンスを披露する唯一無二のエンターテインメントショーだ。東さんの取材を続けてきたRKB毎日放送の神戸金史解説委員が観劇。魅力の一部をRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で紹介した。

◆「まぜこぜの社会」を可視化する

俳優の東ちづるさんといえば、若いころから人気を博して、ドラマの若女将シリーズでも知られますが、ボランティア活動を30年にわたって続けています。一般社団法人「Get in touch」の代表を務めていて、誰も排除しない「まぜこぜの社会を」と呼びかけています。

社会には様々な人たちが暮らしているのだけど、普段の生活ではなかなか見えません。でも「実際には、この社会はまぜこぜなんだ」「まぜこぜの姿を明らかにしていこうじゃないか」ということで、2017年からエンターテインメントショーを開いています。

義足のダンサー、車椅子ダンサー、全盲のシンガーソングライター、こびとレスラー……普段、一堂に会することがない、多様な個性をもつパフォーマーがそろって「まぜこぜ一座」を結成、「月夜のからくりハウス」を上演してきました。今回は5回目で、演題は「歌雪姫と七人のこびとーず」です。

◆自分たちを「小人」と言って何が悪い?

「歌雪姫と七人のこびとーず」では、盲目の落語家、桂福点さんのこんな口上が披露されます。

桂福点:生まれいでたるこの姿。ケダモノなのか化け物なのか、異星人か妖怪か? はたまた妖精か天使か、悪魔か魔女なのか……御用とお急ぎでない方は、一度はこの見世物公開まで、ずずずいーっとお立ち寄り! 寄ってらっしゃい、見ていらっしゃい! 寄ってらっしゃい、見ていらっしゃい……ほな、行こか。

「見世物小屋」というトーンなんです。身長が1mちょっとの「小人さん」が勢ぞろいします。昔は「こびとプロレス」という催しがあったんですが、今はテレビに出てくることもほとんどありません。でも、こういう低身長の人たちはいまも存在しています。その姿をきちんと見てほしい。彼らは「私達は小人だ」と言ってはばかりません。

小人たち:ようこそ、こびとーずの王国へ! これより先は、妖(あやかし)の都。現し世(うつしよ)は夢、夜の夢こそ真! 「いい」は悪いで、「悪い」はいい。「きれい」は汚い、「汚い」はきれい!