裁判所の判断「本件覚醒剤は、起訴内容記載の時点において白色紙袋内に存在していたとは認められない」
また、福岡地裁は34歳の女性が2025年6月18日に断熱材の確認を行った際に本件覚醒剤を断熱材の下方に移動させたという検察側の主張についても
「34歳の女性が断熱材の上方にあった本件覚醒剤を、断熱材の端から下方に滑り込ませ、さらに断熱材の中程まで移動させたことになるが、そのような経過をたどること自体、偶然によりすぎていると言わざるを得ない」
と述べた。
さらに福岡地裁は
「このとき34歳の女性は、覚醒剤等が残っていないか確認していたのであるから、本件覚醒剤に気づかないまま、かえってより発見しづらい場所まで移動させてしまったというのは、なおさら可能性が低い」
と指摘した。
そのうえで福岡地裁は
「本件覚醒剤は、断熱材の下方から発見されているところ、そこにいつから存在するのか、あるいはいつまでは存在しなかったのかは、証拠上明らかでない。元夫は、従前から覚醒剤を天井裏に隠匿していたのであるから、いずれかの時点で、本件覚醒剤が断熱材の下方に移動した可能性は否定できない。検察官が被告人が意図せず覚醒剤を移動させてしまったというのであれば、元夫においても同様にその可能性があるというべきである」
と判断した。
結論として福岡地裁は
「検察官の主張(本件覚醒剤は34歳の女性が元々白色紙袋内で所持していたものであり、それが断熱材の下方に移動した)は、本件覚醒剤の由来について、可能性の一つを指摘するにとどまり、その余の可能性(本件覚醒剤が、34歳の女性が関与する6月11日よりも前から、断熱材の下方に存在していた)を排斥するに足りる証拠はない」
として
「本件覚醒剤は、起訴内容記載の時点において白色紙袋内に存在していたとは認められず、これを前提とする所持の事実は、認めることができない」
と判断した。










