再審請求へ 希望は持てる

幕田稔の母トメ

死刑判決を受ける息子の姿を法廷でみつめたであろう母トメは当時50歳だった。教員だった夫は、シベリアに抑留されたまま生死も分からない状況になっていたが、判決の前月、亡くなっていた知らせが届いた。葬式をしたのは判決の後だったようだ。判決から3か月後、6月11日の日付が入った金井重男弁護士からトメ宛ての手紙があった。

<金井重男弁護士からトメ宛ての手紙 1948年6月11日>
拝復 6月6日付お手紙、本日受領しました。ご主人様の葬式等で重ね重ねご辛労、お察し申上げます。
例の問題は先日ご通知した以外、いまだに進行していません。先方としても、一旦発表した以上、変更するにしても相当の手続きと日時は、面目上もかけるのは無理もありません。グラッサーという弁護士が今、再審請求論文を執筆中で、じき上るまでになお一ヶ月以上かかる見込みです。これが出来てから、初めて再審部で再審するか否かを審査することになります。だから8、9月頃にならぬと、はっきりしない訳ですが、希望は持てます。


金井弁護士は夫の葬式をしたトメをねぎらい、心情に寄り添っている。その上で、幕田大尉の再審の手続きと、その進捗状況について知らせているが、希望を持って前向きに進めている様子がうかがえる。