福岡都市圏で30万人が殺されたイメージ
神戸:1週間後の10月7日は、2年前にハマスによる襲撃が起きた日です。2年間も大変な戦争が続いてきました。改めて振り返ってみます。
ガザ地区は長さ50キロで幅は5~8キロ、細長い棒のような形をしています。面積は365平方キロ。福岡市(343平方キロ)と隣の春日市(14平方キロ)を足したくらいです。人口は、220万人超。福岡市(166万人)に、周辺の筑紫地区(筑紫野市・春日市・大野城市・太宰府市・那珂川市)と糸島市の6市(計54万人)を足すと、ほぼ220万人になります。
神戸:ガザ保健省は9月17日、パレスチナ人の死者数が6万5000人を超えたと発表しました。パレスチナの専門家である早稲田大学文学学術院の岡真理教授は「最近の紛争では、間接的な死者は直接的な死者の3~15倍に上る」という統計がある、と紹介していました。6万5,000人の3~15倍が間接死、けがをして亡くなったり、餓死したり。イスラエルは今、国際社会から「飢餓を兵器として使っている」と非常に強い非難を受けています。
直接死1人につき、少なめに4人の間接死がいたと想定すると、2年間で220万人のうち32万5,000人が亡くなっていることになります。イメージしてみてください。福岡市周辺の都市圏で、30万人が既に殺害されていて、街はほぼすべて、がれきと化している。これがガザの現状です。国連の人権理事会の調査委員会は9月16日に報告書を発表しています。ジェノサイド条約に基づいて法的に評価した結果、6万人以上のパレスチナ人の殺害や、強制的な移住、人道支援物資の搬入の阻止などイスラエル側による行為はジェノサイド(集団殺害)にあたると結論づけました。もちろんネタニヤフ首相は強く反発しています。
パレスチナの国家承認を

神戸:現代社会で、30万人が2年間の間に殺害されているのです。外に出ることも許されず「天井のない監獄」と言われているガザ地区が集中的な爆撃を受け、女性にも子どもにも多くの死者が出ていることを考えると、いたたまれない気持ちになります。恒久停戦への道がやっと見えてきたのかもしれませんが、完全にハマスを排除する内容です。本当にこれをハマスが受け入れるのか。イスラエルがガザ地区から撤退し、何とか早く戦争が収まってくれたらと思います。
ジェノサイドについて、イスラエルは厳しく断罪されるべきだと思います。私がいま着ているTシャツにはアラビア文字で「アイ・ラブ・ガザ」と書いてあります。一刻も早く殺害が終わって、包囲が解かれることを願うばかりです。
田畑竜介アナウンサー(以下、田畑):9月21日は国連の「国際ピースデー」でしたが、国家承認の動きがヨーロッパなどを中心に続いている中で、日本はなかなか……。
神戸:石破首相は国連で「承認するかしないか、ではない。時間の問題だ」と発言しましたね。「やっとか」とうれしく思いました。