去年夏の猛暑 酒米から主食米に切り替える農家も

酒蔵で使用される酒米の大部分は福岡県酒造組合によって配分されています。

酒米が不足している原因は現在の主食米の価格高騰とも密接に関係しているといいます。

福岡県酒造組合 鈴木正柯さん
「お米は気候が一番大きく影響しますからね、今年の夏の猛暑、それから収穫時期の10月頃は熱帯夜が続いて米の品質が良くないですね、足りないという部分もありますからね」

原因は去年夏の猛暑で稲に高温障害が発生しコメが欠けるなど、品質が低下し、歩留まりが良くなかったこと。

さらに今後、心配されるのが去年秋以降続く主食米の価格高騰による影響です。

酒米から、高く取引される主食米に切り替える農家も出てきていて、さらなる価格の高騰が懸念されています。

福岡県酒造組合 鈴木正柯さん
「既に出てきていると思いますよ。もう来年は酒米じゃなくて普通のお米を作ろうかなと考えている方はいらっしゃると思います。なかなかこの問題は解決できないという感じがしますけれどもね」

若波酒造は来年度、取引している酒米の値上げが決まっていて、1つのタンクに1トンもの白米を使用する酒蔵にとっては、商品の値上げをせざるを得ない状況だということです。

若波酒造 八代目 杜氏 今村友香さん
「『各蔵の判断で値上げをします申し訳ありません』ということが続いてきていたんですけども、業界全体でものづくりには原料があって原価によって成り立っているという構造を理解していただく、そのうえでのものづくり、提供ということになってくると思います。(値段の)価値に見合った、ユネスコに登録されているという誇りも含めた高品質なものを私たちは作っていかなければならない」