じりじりと照りつける太陽。連日続く猛暑に苦しんでいるのは人間ばかりではありません。乳牛を育てる牧場では弱った牛を前に「ミルクの質が下がっても牛の命を優先する」と異例の対策をとりつづけています。
暑さで搾乳量が減った

福岡県筑前町の永利牧場。ここでは、およそ100頭の乳牛を飼育しています。
RKB 田中康徳記者「連日の猛暑の中、暑さ対策を施しているこちらの牧場ですが、乳牛も少しお疲れのようです」

乳牛は寒さには強いものの暑さには弱い動物です。今年の夏は例年と比べて、搾乳量が1割ほど減っているといいます。
永利牧場 牧場長 近藤博昭さん「牛たちが飲む水分量は増えていますし、水分量の多いえさを好んで食べています。摂取する水分量が増えると、ミルクの脂肪分にもやっぱり影響がありまして、若干薄くなっているような状況です。繊維質のあるえさを与えたほうがミルクの質が良くなるのは分かっているんですけど、それでも、ミルクの質より、牛を生かすことを優先しています」
出産の翌日に死んだ4歳の母牛

実は今月、子牛を産んだ4歳の母牛が、出産の翌日に死んでしまいました。
暑さで、体力が低下したためだと近藤さんは話します。
永利牧場 牧場長 近藤博昭さん「獣医さんに聞いたら、暑さで見た目以上に体力を使ってエネルギーを使っているということで、それが影響して亡くなったということでした」