史上“最も暑い”9月 要因は「高い海水温」と「偏西風の蛇行」

三重大学大学院生物資源学研究科
立花義裕 教授(気象学)

「今年は6~9月の4か月間、暑いのが続いているが、日本周辺の海水温が異常に高い。おそらく観測史上最も高いと思う。猛暑の影響で海の温度があたためられているが、そのあたたかい水温が日本のまわりにへばりついているので、海から吹く風は熱くなって、かつジメジメしている。猛暑の余韻で海水温が高いので9月も暑いというのが一つ目の原因」

今年は9月に入ってもなかなかおさまらなかった猛暑…。広島県内では各地で9月の平均気温が最も高い記録を更新しました。

広島市中区では9月の月間平均気温は27.2℃で平年より+2.5℃も高く、観測記録が残る過去144年間で断トツに高くなりました。また、9月に初めて気温が37℃台に達したほか、最低気温が25℃以上の日数も11日と最も多い記録にも並んでいます。

三重大学大学院生物資源学研究科 立花義裕教授(気象学)

立花義裕 教授(気象学):
「この9月の猛暑のもう一つの要因は、大気側の話をすると、地球の中緯度の上空を吹いている偏西風の流れが近年は異常で、特に今年は日本付近で偏西風が北へと迂回することが多い。
 偏西風は日本の南の『暖かい空気』と、北の『冷たい空気』の境目に吹くので、境目が北へ行くということは日本はずっと暖かい空気に覆われている。こういう状態が6~9月で微妙に位置は変わるけれどずっと続いている。
 この大気の要因と海水温が高い要因が複合的に絡まって9月が観測史上最も暑くなったと思っている。」

気象庁は「今年は1946年の統計開始以降、 9月として西日本や東日本では1位の記録的な高温だった」と発表しましたが、立花教授はこうした厳しい残暑は、今後は当たり前になるだろうと予測しています。