長年、腹話術で子どもたちに交通安全を訴える女性がいます。祖父を交通事故で亡くしたこの女性は、「一度亡くした命は戻らない」と子どもたちに伝え続けています。

腹話術をする 出野敏子 さん
「道路を歩いているときに1番事故やけがをした人が多いんだって」
『どこで?』
「どこでって、道路」
『悪い道路だね』

安佐北区の幼稚園で開かれた交通安全教室です。子どもたちに交通マナーを教えるのは 出野敏子 さんと5歳の男の子『ゆうちゃん』です。

出野敏子 さん
「右、左、右、車がいなかったら手をあげて渡りましょう。わかった?」

道路で遊んだり、飛び出したりしないことなど交通事故に巻き込まれないための交通ルールをわかりやすく伝えます。

参加した園児
― 何が大切?
「右と左を見て、気を付けて渡ること」

腹話術を始めたのは今から50年前のことでした。小学生の時に見た腹話術が印象に残り、忘れられなかったという出野さん…。大学卒業後に静岡県で開かれた2泊3日の研修会に参加します。必死に練習し、研修後には声が出なくなるほどでした。

出野敏子 さん
「缶詰になってそれだけがんばったんだから、わたしも人形を抱きたい!と思って」

そして、『ゆうちゃん』と出会いました。その後、子ども会などで腹話術を披露していましたが、1996年に安佐北区の地域の人から勧められて、交通安全のボランティアに参加しました。