実はカメラマンのわたしは、鳥の撮影には苦い思い出があります。

去年の話ですが、同じく福山市内で「カルガモの親子がかわいい」との情報を得て、仲むつまじい親子の鳥を撮影。専門家にその映像を見てもらうと…

広島市安佐動物公園 課長補佐 畑瀬淳 さん
「アヒルの一種だと思ってもらったらいいかと思います」

その鳥は、「カルガモ」や「マガモ」ではなく、なんと正体は「アヒル」…。人間が作った飼育するための鳥アイガモが逃げ出し、野生のカモと交雑して生まれたと思われる鳥で、分類上はアヒルとしか呼べないということでした。

広島市安佐動物公園 畑瀬淳 さん
「人の管理下にない家畜というのは本来、あるべきではない。あってはいけないものなんです。彼らがそこにいることによって、どんなことが起きるのかなっていうことを、この映像を見られている方それぞれが考えていただけるといいことなのかなと思います」
「そのような鳥が多く存在する」―。自然の現実を知らされた過去があったので、今回、撮影した鳥もアヒルではないかと疑ってしまったのです。

今回も専門家に、撮影した鳥の種類を聞きに行きました。福山市立動物園で鳥の飼育を担当している 久保岡達也 さんです。
福山市立動物園 水鳥担当飼育員 久保岡達也 さん
― この鳥はどういった鳥ですか? 教えてください。
「こちらはカルガモというカモになりますね」

― カルガモなんですね。どのあたりがカルガモなんですか?
「一番大きな特徴は、クチバシの先が黄色になっているんですよね。これを見ていただければ、すぐカルガモだと判別がつくと思います」

今回、撮影したのは、いくつかの理由でカルガモだろうということでした。久保岡さんは、野生の鳥を観察するのには守らないといけないことがあると話します。

福山市立動物園 久保岡達也 さん
「近くで見ようと思って近づいたりしないように。あとね、エサなどあげますと、人間に依存してしまいますので、しないように。遠くからやさしく見守ってあげるとよいと思います」
今回、撮影できたのは、カルガモでした。そして、同じような環境に、人間が作りだしてしまったアヒルもいます。カルガモもアヒルも同じ命…。自然の生態系を壊さないようにするにはどうすればいいのか…。あらためて答えのない問題を考えさせられた取材となりました。