日本に渡るために多額の借金を抱えることが多い技能実習生…。ルール上は日本での出産も可能で、妊娠を理由に帰国させられることはないはずなのですが…

岩下康子 准教授
「ところが、技能実習生にはそれが周知されていません。そのために過去の暗い事情を知っている者の話がSNSで出回っている。基本的に実習生を保護する、相談に乗るというのが、監理団体の役割になっているんですが、監理団体と受け入れ企業は一体となっているので、(妊娠を秘密にするため)相談ができない」

言葉の壁があり、病院や行政にも頼りにくい中、郊外に住む実習生は支援団体にも助けを求め難いといいます。

岩下康子 准教授
「移動にも非常に事欠くようなところに住んでいるので、日本人とのつながりというのがほとんどない状況に置かれています。そのため支援者とのつながりも持てない。ここが一番大きな問題」

政府の有識者会議は、今の制度を廃止し、新たな制度を検討しています。しかし、岩下准教授は、「転職の制限」が緩和される見通しの新制度でもこうした問題は解決しないのではと考えています。

技能実習制度に詳しい 広島文教大学 岩下康子 准教授
「こういった事件というのは、相談できる場所がない。孤立出産に追い込むような監理団体と企業との関係、そういった制度の根幹にかかわる問題なんですよ。そこが変わらない限り、問題はなくならないと思います」

また失われた幼い命…。今回の事件の背景にも「技能実習生特有の事情」はあるのでしょうか?