「高野」vs「八幡」 実際に寒いのはどっち?

青山高治 キャスター
実際に八幡と高野はどっちが寒いのか…。八幡の人たちは、「広島で一番寒いのは『八幡』」と言っていますが、高野の人はどう思っているのか、ドキドキしてきました。

岩永哲 気象予報士
1つの例として、2018年2月9日で比較してみましょう。この日は、中国地方に強烈寒波が入り、大雪となったあと、晴れて放射冷却が効き、非常に厳しい冷え込みとなった朝でした。庄原市 高野のアメダスでは最低気温マイナス18.1℃を記録。1978年11月以降の観測史上3番目に低い記録です。キラキラと輝くダイヤモンドダストも見られました。

岩永哲 気象予報士 
一方、同じ日の朝、自分は北広島町八幡に取材に行っていました。こちらも強烈な冷え込みで手元の気温計はマイナス20℃に迫る値を示していました。そこで極寒の地でよく見る、タオルを水で濡らして振り回すという実験をしてみると…、およそ2分で、濡らしたタオルはカチコチに凍ってしまいました。

岩永哲 気象予報士
県北にあるアメダス3地点、高野・大朝・八幡を比較してみると、八幡に近い大朝でもマイナス16.9℃と観測史上3番目に低い気温となっていました。ただ、大朝の気温は、八幡の参考にはあまりなりません。2つの地点は標高があまりに違いすぎるためです。

また、八幡は、高野と比べても標高がおよそ200メートル高いのです。まわりが山に囲まれていて、冷たい空気もたまりやすい地形です。同じような気象条件の場合、八幡の気温が高野より低くなるケースはかなりあるのでは、と考えられます。

地元の要望でアメダス観測内容の追加はできる?

河村綾奈 キャスター
でも、やっぱり同じもので気温を測らないと…と思うので、八幡アメダスに気温計をつけてもらえばいいのでは。

岩永哲 気象予報士
そうですね。ただ、結論を先に言うとそれは難しいだろうと思います。アメダスは、全国に約1300か所あって、▽「降水量」はすべての地点で観測(全国17キロ間隔)、▽「気温」は約840か所で観測(全国21キロ間隔)しています。

アメダスを管理する気象庁観測整備計画課によりますと、この間隔は「観測や予報の精度を確保するのに必要な間隔」で、観測地点の数は1970年代後半にアメダスが整備されたころからほとんど変わっていないとのこと。

「これまで地域の要望を受けて、特定の場所にアメダスをつけたり、観測内容を追加したりしたことはない」としています。

現在、「湿度計」の設置が、全国のアメダスで順次、進んでいますが、これは線状降水帯などの集中豪雨の予測精度向上が目的です。

青山高治 キャスター
では、八幡のみなさんはどうすれば…。

岩永哲 気象予報士
八幡のみなさんは、アメダスの近くに独自に気温計をつけて発信するようなことも考えているようです。一番寒い町としてのPRは続けてもらえたらいいのではないのでしょうか。