タイミングで分かれる明暗…「託された思い」も1万字の原稿も無に?
瀧口さんの場合は、病床のイ・ジョングンさんの枕元で家族が原稿を読み聞かせる形で承諾が得られたとのことです。
研修生 瀧口裕子さん
「もう、いらっしゃらないので、どうですかってお聞きできないし、また、そこらへんまでイ・ジョングンさんの本心を聞き出せるほど、近くでお話していないので。見切り発車みたいな講話になっているので、これからだと思います。最後の最後に渡してくださったものなので、それはつたなくてもイ・ジョングンさんのお気持ちを先輩の方がたにいろいろ聞いて、少しでも近づいてお伝えできればいいなと思っています」
一方で、亡くなる5日前に市に提出された松野さんの原稿は、イさんの元には渡らなかったそうです。
松野厚子さん
「本当にたくさん、毎月毎月、ミーティングに参加していただいて、フィールドワークにも案内していただいて、なんか、もうちょっと、これを活かす方法っていうか。イさんの思い、わたしたちに託しておられる思いがいっぱいあると思うんですよね。それが断ち切られることは残念なので」
とはいえ、現状のルールでは、最後の原稿確認が、証言者にとって自分の壮絶な体験や複雑な思いをその人に託せるかどうかのよりどころとなっています。