見えてきた「伝承者」制度の課題とは…

伝承者 甲斐晶子さん
「そして、一番直近の課題が、昨年・一昨年から被爆者の方がどんどんお亡くなりになっているということなんです。亡くなられてしまったということで、被爆者がその原稿に目を通していないという理由だけで、もうあなたはその被爆者の伝承者にはなれませんよと…」

実は、近年、伝承事業に協力する証言者が相次いで亡くなっています。2021年度以降だけでも4人。その4人に習っていた研修生は134人いましたが、実習を継続できたのは25人でした。継続できるかどうかの違いは、研修過程の後半に作成する「講話原稿」が被爆者本人に認められていたかどうか、です。

2020年度までの研修期間は3年。(現在では2年間)つまり、2年以上学んでいたとしても原稿チェックの前に証言者が亡くなってしまうと、「伝承者」にはなれません。

研修生 松野厚子さん
「イさんの原稿を書いて出したのが7月25日だったんですよね。7月30日に亡くなられて」

研修生 船津晶子さん
「長崎の状況をお聞きすると、被爆者の方が亡くなっていても道が開けているんですよね。だから、広島はどうしてこんな厳格な基準でシャットアウトしてしまうのかなっていう思いはありまして」

研修生 瀧口裕子さん
「みんな、一生懸命がんばっていらした方はどうなったんだろうって。自分がそこを運よく潜り抜けただけに、どうなったんだろうって」