ベトナム人技能実習生が岡山市の建設会社での暴行を訴え、その場面をとらえた動画は広く知られることとなりました。あれから3か月、被害を受けたベトナム人実習生は今…。


ベトナム人技能実習生のホアンさん(仮名)です。ホアンさんは先週、広島市南区に引っ越しして、新たな生活を始めました。



ことし1月、ホアンさんは、当時、実習生として働いていた岡山市の建設会社で暴行を受けたと訴え、福山市の労働組合に保護されました。


ホアンさん(仮名)1月
「(実習生として)もう一度、日本に来たいとは思わない。」

1月に開かれた外国メディア向けの会見でこう話したホアンさん。一方、これに先だって岡山市で開いた会見では、「お金を稼いでから帰国したい」と複雑な心境を明かしていました。


ホアンさん(仮名)
「今は日本でまだ働きたいです。家族のためにいい会社に変えたい気持ちがあります。」

県内にはおよそ1万5000人の技能実習生がいます。


そもそも国が定める技能実習制度の目的は、「技術を伝える」ことです。一方で、2年前の広島県の調査では、実習生を受け入れた理由について9割以上の企業が、「日本人だけでは人材確保が困難だから」と回答しました。

そして、実習生側もこの制度のために多くが借金をして「人生をかけて」来日し、母国への仕送りを続けていることも現実です。



制度の建前と実態がかい離していることが浮き彫りになっています。

ホアンさんは、来日して2年がたった今も日本に来るためにつくった借金がまだ数十万円残っていました。

「家族のために少しでもお金を稼ぎたい。」


ホアンさんは、1月下旬には、すでに新しい仕事を探すため、面接をしていましたが、外国人技能実習機構からの許可が下りるまでに時間がかかり、先週からようやく働くことができるようになりました。


ホアンさんを面接し、受け入れを決めた広島市の土木工事会社の堀井さんです。


大斗(土木工事会社) 堀井直規専務
「1期生の子のベトナムの2人が、家族のようにこちらも接するけど、逆に近づいてきてくれる子たちなので。ああいうニュースを見たら、どうにかしてうちでがんばってもらえんかなというのがきっかけではあります。」

ホアンさんも新しい職場の環境には安心している様子です。


ホアンさん(仮名)
ー 新しい会社に変わってどうですか?
「新しい職場の日本人と楽しく会話したり、指導してもらったりしています。前の(暴行を受けていたころの)日本の印象と比べたら少しずつ改善できている。」

ホアンさんは、すでにこの会社で働いているベトナム人実習生2人と同じ寮で暮らしています。


ホアンさん(仮名)
ー きょうは何の料理?
「豚肉…」


日本語はまだ十分に習得できていませんが、「今の暮らしは楽しい」と話しています。

ホアンさん(仮名)
「がんばります。」

ホアンさんが、技能実習生として働ける期間はあと1年弱。ベトナムに帰国するのか、人手不足を補う即戦力としてより長く働ける「特定技能実習生」として日本で仕事を続けるのかは、もう少し考えたいと話しています。



― 技能実習生制度は、その矛盾や問題点がずっと指摘されています。ホアンさんは、暴行の被害を受けた当時の岡山市の会社との話し合いを進めていて、謝罪と補償を受けることで合意できそうな状況だといいます。

― 取材した記者によると、カメラで顔の表情を撮影することはできなかったが、同僚のベトナム人と話すときには笑顔も見られたそうです。