ウクライナでの戦闘が終わりません。避難民が押し寄せる国々では、医療体制に大きな負担がかかっています。そんな中、国内での災害医療の経験を現地で活かそうという動きもあります。「ヨーロッパ最貧国に医療支援を」と、広島からモルドバに入った調査団の団長を務めた広島大学大学院の久保達彦教授(公衆衛生学)に話を聞きます。

■モルドバには約10万人の避難民が流入​


小林康秀キャスター
久保さんは3月19日、国際協力機構JICAのウクライナ避難民支援調査団の団長として、ウクライナの隣国モルドバに派遣されました。そして人道支援や保健医療分野でどんなニーズがあるのか調査をして、4月10日、帰国されました。モルドバは、ウクライナの隣国。ちょうどルーマニアとはさまれた国です。あまりなじみがないのですが、なぜ、モルドバだったのでしょうか。

広島大学大学院 久保達彦教授
モルドバは今、ウクライナからの難民する人がたいへん多く流入している国となっています。ウクライナからは450万人の方がたが避難民として流出していることになりますが、それを受け入れている国の1つがモルドバになります。

なぜ、モルドバなのか。ポーランドやハンガリーなど、いろいろな国が避難民を受け入れていますが、その中でモルドバは人口当たりの受け入れ人数が一番大きい国です。たいへん小さな国にたくさんの避難民が押し寄せているという状況なので、JICAの調査の対象になりました。


小林キャスター
モルドバには今、どれぐらいの避難民の方がいるんでしょうか?

久保教授
モルドバの人口が260万人ですが、これまでに40万人規模の避難民の方が流入しているという状態になっています。例えば、30人クラスで4人が避難民という規模になっています。そんな中でさらに避難民は、ほかの国に、ルーマニアといった近隣国にも移動しているのですが、約10万人がモルドバに留まって、引き続き生活をしている状況になっています。

小林キャスター
10万人。かなりの数ですが、女性や子どもが多いんでしょうか?

久保教授
現在、ウクライナからは国外に基本的には男性は出られないと。戦時中なので、そのような制約がかかっているという状況になっているので、多くの方がたが女性、あるいは子どもであるというふうに考えられています。

小林キャスター
例えば患者さんとかは?

久保教授
今回、調査で行って、初めてわかったことなのですが、避難民を対象とした医療支援は女性や子どもを対象にしていると、もともと考えていました。ところが、実際調査団としてモルドバの保健省の方がたとデータをとってみたところ、実は4割が男性だと分かりました。保健省の先生もとても驚かれていました。

実際には、ウクライナから男性も出国しています。どのような方かというと、がんを患っていたり、透析を受けていたり、健康上の問題がある人は、男性でも出国できるようになっています。そういったことから、患者さんのデータをとってみると、実際は4割、半分程度が男性だという結果になりました。