■潜在患者は900万人─治療を受けているのは1割

実は、睡眠時無呼吸症候群は決して珍しい病気ではありません。しかし、循環器内科医・中村真幸医師は、深刻な現状を説明します。
「日本では、中等度以上の睡眠時無呼吸症候群患者は推定900万人(*2)いると言われています。しかし、そのうち治療を受けているのは1割程度。つまり約800万人が、自分が病気だと気づかないまま眠り続けているということです」
*2 出典:Benjafield AV, et al: Estimation of the global prevalence and burden of obstructive sleep apnoea: a literature-based analysis. Lancet Respir Med 7: 687―698, 2019.
この”沈黙の病”が恐ろしいのは、無自覚のまま、じわじわと体を蝕む点です。
「夜のうちにダメージが積み重なっていく。それが、朝のだるさ、昼の眠気、血圧の上昇、そして脳卒中や心不全へとつながっていくんです」
■睡眠時無呼吸症候群の診断基準─どこからが”異常”なのか
睡眠時無呼吸症候群の重症度は、10秒以上の無呼吸または低呼吸が、1時間に何回起こるかで判定されます。
▽1時間に10秒以上の無呼吸・低呼吸が5回未満の場合は正常
▽5回から15回未満で軽症
▽15回から30回未満で中等症
▽30回以上で重症
40回以上であれば、即治療になります。中には、1回の呼吸停止が2分以上続くケースもあるといいます。
中村医師
「2分も息が止まっているなんて、信じられませんよね。でも実際、そんな患者さんもいらっしゃいます」

































