公共工事の便宜をはかった見返りに、海田町の職員(当時)が接待などを受けたとされる事件の裁判が4日、広島地裁で始まりました。

収賄の罪に問われているのは、当時、海田町建設部建設課の技師だった岡山光太郎被告(26)。贈賄の罪に問われているのは、海田町の土木会社「梨真興業」の社長安部真矢被告(39)です。

起訴状によりますと、岡山被告は、海田町が発注する随意契約で、安部被告の会社が受注できるよう便宜を図った見返りと知りながら、安部被告から代金12万2790万円相当のデリバリーヘルス遊興などの接待と現金8万円を受け取ったとされています。

検察側は「梨真興業が受注できるよう便宜を図ってもらった謝礼をするとともに、今後も有利に取り計らいを受けたいと考え、岡山被告の代金を支払って接待し、岡山被告もその考えを理解して接待を受けた」などと指摘しました。

一方、弁護側は「梨真興業に便宜な取り計らいをしたことはない」としましたが、被告人質問で岡山被告は「賄賂の認識はなかったが、今考えると考えが甘かった」などと話しました。

裁判は、この日結審し、検察側は「梨真興業の受注金額や岡山被告が担当した簡易外注のうち、梨真興業が受注した件数の割合が相当な金額や割合に上っていて、職務の公正がゆがめられた程度も無視できない」などとして、岡山被告に懲役1年2か月(追徴金20万2790円)、安部被告に懲役10か月を求刑。

弁護側は「安部被告の接待の意向が、主に気心が知れた仲のものと認識しながら、海田町の技師である岡山被告との関係を維持し、梨真興業がより多く受注したいとのものであろうと少しばかり認識するもので、賄賂性の認識は、いわゆる未必的なもの」などとして、執行猶予付きの判決を求めました。

判決は10月2日に言い渡されます。