タヤ子さんの息子・敏信さんは、手製のクギの板戸を出入り口にすえ付けました。


旗手敏信さん
「イノシシは鼻のあたりがやわらかいから。鼻で突いたときに、もうそれから全く来なくなった。だから1回、家に入られて、次の日くらいにクギの板戸を付けていった」


「夜中の何時くらいだったかな、目を覚ましたときにイノシシがギャッと言いながら逃げていったというのがありましたね、これのおかげで」


こうしたクギの板戸のほか、島の民家の多くは、有刺鉄線に電気柵、メッシュの金網などで囲まれています。


しかし、尾道市から補助金が出るのは畑の防護柵などが対象で、民家の囲いは自前となります。


旗手タヤ子さん
― お金はいくらかかった?
「70~80万円はかかったでしょう。イノシシ対策で」


守っているだけではありません。10年以上、捕獲班員を務める京泉さんたちは、これまでに400頭以上を銃や箱ワナで駆除したといいます。


それでも、ため息交じりにこう話します。


有害鳥獣捕獲班員 京泉盛勇さん(72)
「おるものを捕ってしまって、なくなるっていえば、捕ってしまえばええんじゃが、よそから泳いで増えてくるぶんには手の打ちようがない」


今、百島では観光に力を入れ、島の外からの集客を図っています。町内会からはこの点への影響を心配する声が聞かれます。


百島町内会長 旗手憲一さん(74)
「今ね、百島はマリンスポーツ観光で、まあ行政も考えとって、そちらの方がもしイノシシが被害が起きると、深刻な状況になりますよね、観光の」


小さな島で続く島民とイノシシの終わりの見えない戦い…。


救いは今のところ、けが人が出ていないことです。