原爆が投下されて2か月後の広島を撮影した写したフィルムに写る「おんぶされた男の子」。2022年に「この男の子は私」と名乗り出たのは、広島県呉市に住む竹本秀雄さん(82)です。あれから2年、被爆証言をする機会も増えました。竹本さんが伝えるのは、家族の物語です。

1945年8月6日午前8時15分、人類史上初めて原子爆弾が人の頭の上に落とされました。

当時3歳。自宅にいた竹本さんは、骨が見えるほど左のほほに深い傷を負いました。さらに、建物の下敷きにもなりました。そのとき、当時11歳だった兄の定男さんが見つけてくれたといいます。

竹本秀雄さん
「『秀雄がここにおる』と兄が見つけてくれた。その後、自宅は焼けてしまったので、兄が見つけてくれなかったら、私は生きていなかったと思う」

定男さんは、24歳のとき、交通事故で亡くなりました。「あんちゃん、ありがとうね」。竹本さんは毎日、仏壇に手を合わせています。