2人目の子を希望する人
「保険を(適用)するんだったら順番や薬が1から10まで決められている」

「それから1歩でもはずれるんだったら、もう保険適用外で助成金制度もないので、全額、自分で払えということですね。期待が大きかったぶん、なんか肩透かしくらったような。建前上の少子化問題だけ取り上げて、結局、中身のない制度かなと思いますね」
不妊治療にはさまざまな段階があり、一般的には高度な医療が必要なほど費用がかかります。

実は今年度、保険適用となったのは、顕微授精の一定の範囲まで。その範囲に入らない治療行為は「先進医療」と分類され、保険は適用されず、自己負担となります。
※病院によっては、「先進医療」を含めた時点で全て自己負担になるケースもあります。

さらに、「先進医療」として認めるかどうかを国で審議中の、いわば「※超先進医療」については、その治療を行うことによって「混合診療」とみなされ、それまでの診療行為全てが自己負担となってしまうのです。
※こちらのコーナーでは分かりやすい表現として、先進医療として認めるかどうかを国が審議中の医療技術を、「超先進医療」と表記しています。

広島HARTクリニック 向田哲規院長
「不妊治療で行うことは複雑多岐に渡って、認められていないことも多い。それを加えることで妊娠率が上がることや、その人にはとって有益になることがあるが、それを加えたばかりに全部が自費になってしまう。ぼくらとしても最大限の医療のサポートしてあげたいし、一番良い医療を提供したいが、足かせがある。どちら(の治療方法)にしたらいいかという困惑が患者・医療現場 両方で起きている」

それだけでなく、国は保険適用の導入を機にこれまでの助成制度を撤廃しました。

向田哲規院長
「助成金がなくなったので経済的負担が全部かかるわけです。だから基本的 体外受精でできる6割はいいが、残りの4割の人にはなんら経済的なサポートがなくなることは問題」
実際、この保険適用の線引きのために本来、望んでいる治療に踏み切るかどうか、悩んでいるという夫婦に話を聞きました。

10年前に結婚して、不妊治療の末、去年、長女・結月ちゃんを授かったという伊勢夫妻。出産の前の年の支払いは221万円。このほかにも交通費が20万円以上かかるなど、先が見えないのが不安だったといいます。
綾子さん
「わたしが子宮が大きかったので、それの治療もあったし…」

― 出産までに250万円くらいかかると最初から思っていた?
「想像以上だった」

伊勢 正さん
「正直、100万円ちょっとかなと思ったんですけど」