子どもたち自身が子どもの権利を自覚し社会で対等に生きられるよう、沖縄弁護士会が初めて子どもを対象にした宣言を発表しました。
▼沖縄弁護士会 古堅豊 会長
「これは行政や大人に向けた提言であると同時に、子どもたち一人一人にあてた手紙でもあります」
この宣言は、日本で「子どもの権利条約」が批准されてから31年が経ってもなお、県内で子どもたちの権利侵害が続く状況を受け、沖縄弁護士会が発表したものです。
宣言は、子どもたちに向けられ簡単な日本語で書かれていて、差別されないこと、自由に意見を示し、それが尊重されることなど、子どもが生きるうえで守られるべき権利が明記されています。

県内では貧困問題や部活での不適切指導など、子どもの権利が守られない事例が
相次いでいて、沖縄弁護士会はこの宣言をきっかけに子どもたちが対等に生きられる社会を目指したいとしています。
沖縄弁護士会によりますと、全文が子どもに向けられた宣言はこれが全国で初めてということで、来月にも県内のすべての小中高校に送付される予定です。

未来を創る子どもたちへ―あなたの声を大切にする社会を実現するための宣言
1子どもの権利条約
「子どもの権利条約」を知っていますか?「子どもの権利条約」は、世界中の子どもたちが幸せに生きるために国同士でした大切な約束です。子どもは、大人が守ってあげるだけの存在ではなく、自分の考えや気持ちを持つ一人の人間であり、日本に住んでいる子どもたちも、この条約で確認された権利を持っています。子どもの権利は、生まれたときから誰もが持っている、大切に守られるべきものです。何かをしなければ手に入れられないということではありません。「子どもの権利条約」は、子どもにもこうした権利がきちんとあることを世界中で確認し、絶対に守っていこうと決めた約束です。
この条約には、子どもが幸せに生きるための大切な4つの約束が書かれています。
①差別されないこと(差別の禁止)
②子どもにとって最も良いことを考えること(子どもの最善の利益)
③命を守られ成長できること(生命、生存及び発達に対する権利)
④子どもが自由に意見を表し、その意見が大切にされること(子どもの意見の尊重)
2子どもの意見の尊重(声を聴かせてください)
みなさんは、言いたいことを聴いてもらえていますか?
みなさん一人一人には、自分に関係することについて、自由に意見を言うことができる「意見表明権」という権利があります。例えば、学校のルールや家庭のことなど、あなたに関係のあることを決めるときには、あなたは、自分の気持ちや考えを自由に言うことができるのです。「言ってはいけない」「我慢しなきゃ」と思わなくていいのです。
もし、学校や家でつらいこと、困っていることがあったら、どうか一人でかかえこまないで、まわりの大人に相談してください。家族でも、先生でも、スクールカウンセラーでもいい。私たち弁護士でもいいです。あなたの話をちゃんと聴く人が、必ずいます。
大人は、あなたの意見を、あなたの年齢や成長に合わせて、きちんと考えなければなりません。あなたが自由に意見を言えること、そして、その意見が尊重されることを私たちは大切にします。
3子どもと大人は対等なパートナーです
あなたの声には、力があります。「こうしたい」「これはおかしい」「こんな社会になったらいいな」そんな気持ちを言葉にすることは、とても大切なことです。
あなたの声は、まわりの人を動かすことができます。一人の声でも、それが集まれば社会を変える力になります。社会は、大人だけが作るものではありません。あなたの意見や気持ちは、この世界に一つしかない大切なものです。
大人は、子どもの権利を守り、子どもが安心して成長できるように支えていく責任を負っています。子どもは、大人と一緒に社会を作っていく仲間であり、対等なパートナーなのです。
4私たち弁護士の取組み
私たち弁護士は、みなさんの声を聴き、それを大切にして、子どもの権利を守っていきたいと思います。みなさんからの相談に乗ることに取り組んでいきますし、苦しんでいる子どもたちを救い、同じ苦しみを繰り返させないための活動をしていきます。また、みなさんの声を聴いて大切にすることを当たり前にする文化や仕組みを作っていきたいと思います。
私たちは、みなさんと共に社会を作っていきたいです。みなさんの声が大切にされ、権利が守られる社会を一緒に作っていきましょう。
2025(令和7)年12月23日沖縄弁護士会








