主にウリ科の植物に寄生し、果実を食い荒らす「セグロウリミバエ」。根絶を目指す県は19日、繁殖能力を失わせたオス「不妊虫」を、さなぎの状態から成虫にして大量に放つ作業を本格的に始めました。
19日、名護市では3万匹の成虫となるさなぎが入ったかごを、木に設置しました。このさなぎはオスの「不妊虫」で、メスが交尾して卵を産んでもふ化しないため、自然界からセグロウリミバエを根絶できるという仕組みです。
▼県病害虫防除技術センター 伊禮信 所長
「できるだけ早くセグロウリミバエ根絶に向けて、減っている感触をつかみたい。皆さんと力を合わせていきたい」
県は、今年10月ごろまでには、県内各地で1週間に2400万匹放つことを目指し、不妊虫の育成を急ピッチで進めています。
去年3月、沖縄本島北部で初めてセグロウリミバエが確認されてから、国や県は、防除に向けあらゆる手を打ってきました。
卵や幼虫が潜む可能性のある作物の廃棄や、本島外に出荷される野菜の箱の穴をシールで塞ぐことまで……。しかし、地道な取り組みも報われず、拡大の勢いは止まっていません。
▼上江洲まりの 記者
「沖縄本島から約9キロ離れたここ伊江島でも、セグロウリミバエが確認されました」
▼JAおきなわ伊江支店 竹田総雄さん
「どうにか……食い止めたいです。やっぱり心配ですね。冬瓜農家さんや、ゴーヤー栽培をされている方がいらっしゃるので、そういった方々に被害が出るのが一番怖いところです」
セグロウリミバエの飛来が確認されたのは、県内19の市町村。今月、伊江島と伊平屋村で新たに確認され、北部では12市町村すべてで飛来が確認されたことになりました。
その地域で繁殖が拡大している可能性が高まる「寄生果」は、中部も含めた14市町村で見つかっていて、その多くは家庭菜園の作物で確認されています。
▼JAおきなわ伊江支店 竹田総雄さん
「農家は定期的に防除されているので、なかなか入りづらい部分があるんですね。やっぱり家庭菜園は無農薬でやっている方が多いので、そこから出るのが多いそうです」
島らっきょうと並ぶ伊江島の特産、冬瓜は年間約130トン生産されますが、影響は避けられないと農家は肩を落とします。
▼トウガン農家・照屋奨 さん
「県外に出荷できなくなると、トウガンは重量作物で、県内とか近場だけで消費するのは難しくなってくると思うので、県外出荷がなくなるとトウガン農家としてはきつくなると思います」
甚大な被害が出る前にまん延を食い止めることができるか、家庭菜園を楽しむ人も含め、県民の幅広い協力が求められています。