強豪を相手に、試合はリードされる展開。田場はディフェンスの場面でコートに立った。しかし簡単には止められない49歳。

それでも田場のパスからゴールが決まると、吼えた。

「田場さん!」

観客席からは熱い声援がコートに届く。田場は熱を込めたプレーで応える。

「いくぞ、いくぞ、ここからいくぞ!」

この試合、琉球コラソンは24-35でジークスター東京に敗戦。若い選手たちに、競技への熱い思いを伝え続け、田場の現役生活は終わった。

セレモニーでマイクを握った田場の表情は清々しかった。

「みなさん、ありがとうございました、体力の限界です。体、ぼろぼろです、でもやり尽くしました、やり切りました。そして幸せなハンドボール人生でした」

「小学校から始めたハンドボールを、“大好きなハンドボール”で終われるってのが、すごく感謝です」

――後輩たちにどんな思いを託したいですか?
「彼らに任せたら大丈夫です、安心して引退できます。がんばれよ!」
「(後輩たち)ウっす!」

今後田場は、自身も苦しんだ依存症の薬やサプリメントの開発に取り組むという。

熱い思いは後輩たちに受け継がれ、一時代を築いたレジェンドは、新たなキャリアに踏み出す。