早産などの理由で小さく生まれた赤ちゃんの成長の記録を記す「ハンドブック」が完成しました。導入の背景には「母子手帳の記入がつらい」という保護者の声がありました。
子どもの成長は心の支えに、母子手帳の記入は…
大分市に住む幸野江美さんは、3人の娘を愛情いっぱい育てていますが、母子手帳の保護者記載欄は無記入のままです。流産や早産を引き起こす子宮頚管無力症のため、長期の寝たきり入院を経て出産した幸野さん。2012年に29週で生まれた双子の湊ちゃんと、たま美ちゃんはいずれも1200グラム台。おととし24週で生まれた三女の美月ちゃんは608グラムでした。

幸野江美さん:
「自分があのときにああいう風にちょっと歩きすぎたかなとかそれでよくなかったのかなとか、とにかく自分のせいと全部思っているので何をやっても涙が出てきた」
自分を責めがちだった幸野さんにとって、子どもの成長は心の支えとなりました。608グラムで生まれた美月ちゃんは1歳9か月。医師からは歩けないかもしれないと言われていましたが、しっかりと歩き、自分の思いも伝えてくれるようになりました。
幸野江美さん:
「もう歩けないと思っていたけどしっかり自分の足で歩いて、予想をはるかに超える成長を見せてくれるのですごくうれしい」
しかし、成長が素直に喜べなくなるのは母子手帳を記入するとき。美月ちゃんの体重は欄外から始まり、成長曲線を大きく外れます。そして、節目ごとの発達ではできないことが多く『いいえ』ばかりにチェックが入ります。

幸野江美さん:
「書いて『いいえ』ばっかりついているのを見るのも辛くてだから白紙のまま。『あなたの子どもはこんなに発達が遅れているんですよ』っていうのを突き付けられている感じがあるので自分で書かないと決めておきながら悶々とする」
夫・彰文さん:
「(母子手帳に)一喜一憂していつのまにか落ち込んでいたり、またもどっていたりというのは激しかった」
大分県内では年間で出生児の9パーセントにあたるおよそ700人が2500グラム未満で誕生。このうち50人ほどが1500グラムに満たない極低出生児で、母子手帳に悩みを抱える保護者も少なくありませんでした。