数年に一度の頻度で大規模な豪雨災害が発生し、全国各地で多くの命が失われています。しかし、亡くなった人の中には『助かるはずの命』があったことも事実です。2020年7月豪雨の被災者に取材し、当時の思いや、いま伝えたいことを聞きました。
自分たちは大丈夫…
2020年7月豪雨は、九州を中心に記録的な大雨をもたらし、全国で住宅の全壊が1620棟、死者は84人に上りました。
大分県日田市天瀬町の小森孝子さん(当時72)は、自宅の玄関先で氾濫した玖珠川に流されました。

すぐ近くで目撃していた夫の満雄さんは、「水害の危険性を学んでおくべきだった」と悔やんでいます。
小森満雄さん:
「自分が住もうと思ったら水害のリスクを丹念に聞くべきだったね。あのときの映像が頭にこびりついてどうしようもない…なんというか悔いが残る」
水害は事前の予測で避難できるため、命を守ることができる災害ですが、避難行動に結びついていない現状があります。
大分大学減災センターは、去年8月の台風10号で被災した国東市民35人にアンケートを実施。その結果、適切に避難できた人はわずか3人。およそ7割が台風の被害を考えていませんでした。

大分大学減災センター 鶴成悦久センター長:
「自治体が出す情報に対しても『自分たちは大丈夫だ』と思ってしまうと人的な被害が出てしまう。行政もしっかり住民に伝わるような努力をしていかなきゃいけない。リスクコミュニケーションがしっかりできることによって、被災者ゼロは限りなく可能だと思う」