■再開か断念か…交錯する複雑な思い
(宿泊客)「宿泊はきょうで4回目か5回目です。温泉がいいし女将さんが気さくでいい」「ただ悔しいだけです災害が続くことは。泊まりに来てでも加勢するよりほかない」
右田さんは、宿泊客からかけられる励ましの声や、SNSで届く応援メッセージに勇気づけられ、この1週間を乗り越えられたといいます。ただ、自宅が被災した右田さん夫婦は4室ある旅館の1室を避難場所として利用せざるをえず、売り上げにも大きく響いています。
(右田さん)「夫婦で使っている部屋は本来、客室なので、3人入ると1日4万円ぐらい売り上げるのが年内の予約は全部お断りさせてもらったのでちょっと厳しい」
河川の復旧計画が決まらなければ自宅兼店舗の再建もままならない現状に「今は気持ちの整理がつかない」と目を潤ませました。
(右田さん)「パン屋をやる、やらないをずっと考えながら生活している。自分たちの気持ちの整理をつけて方向性を決めていきたい」

その一方で、過去の教訓がいかされたケースも。2年前の7月豪雨で一家4人が亡くなったことを受け、温泉街では高台にある旅館10軒を緊急避難所に指定。今回は3つの旅館に10人が避難し、被害の拡大を防げました。
(湯平温泉観光協会・高橋弘喜会長)「2年前の豪雨のことがあるので早めの避難の周知ができていた。復興への気持ちがあがっているときに心が折れてしまうけど、まだまだ頑張っていかないとという気持ちに切り替える」

懸命の復旧作業が続く湯平温泉。ただ、2年前の豪雨から復興半ばの家や旅館もあり本来の温泉街の姿を取り戻すには幅広い支援が必要といえます。