大分県内では最大規模の団地がある大分市明野地区では県営住宅が建築されて50年を超え老朽化が課題となっています。県が策定した大規模な建て替え計画とその背景を取材しました。
抜け落ちそうな床に… 腐食が進んだベランダの手すり。コンクリートも剥がれ落ちています。実はここ、県営住宅の一室なんです。

(県公営住宅室・中澤慎太郎さん)「ここが浴室で風呂釜は持ち込み。昭和40年代にできたものはほとんどこういったタイプ」
大分市の東部に位置する明野地区一帯には55棟もの県営住宅がありますが、うち16棟が築50年を迎えています。

建設当時は1960年代のまさに高度経済成長期。大分臨海工業地帯の背後地となる明野地区には、公営住宅のほか進出企業の社宅などで、県内最大の住宅団地が形成され、多い時にはおよそ2万5000人が暮らしていました。


(安部記者)「明野地区に点在している県営住宅。この建物をめぐって、“ある計画”が浮上しているんです」
県営住宅の老朽化を受けて県が策定したのが事業費およそ71億5000万円の大規模な建て替え計画です。

(県公営住宅室・大谷亘徹室長)「エレベーターも給湯設備も全棟無いし、非常に設備水準が低い。その辺も含めて新しくリニューアル、集約して建て替えようと」
計画では地区に点在する16棟を解体。9階建て4棟と4階建て1棟の5棟・300戸程度に集約します。

エレベーターやスロープを設置してバリアフリー化を図るほか、部屋には浴槽と給湯器が整備されます。
この計画に住民はー
(住民)「賛成だけど、新築だと家賃が高くなるのでは」「計画自体ができてないのでまだイメージしづらい」
県は2023年1月にも建物の設計から建築、それに居住者の移住支援や解体後の土地の利活用まで、一括して民間企業による提案型の公募を実施。それを受けて、具体案や家賃などを決める見通しです。
(県公営住宅室・大谷亘徹室長)「我々もその都度住民には説明会を開いて説明していきたい。子育て世帯も引き込んでいけるような住環境の整備をしていきたい」

建築から半世紀が過ぎて、大きな転換期を迎えた、大分市明野地区の県営住宅の完成は2029年度になる見込みです。