コロナ禍で迎えた3度目の夏。たくさんの人に元気を届けようと夜空に大輪の花を咲かせる花火師に密着しました。

今月15日、大分県由布市で夏の風物詩「ゆふいん盆地まつり」が開かれました。新型コロナ対策のため、一部の行事が中止となりましたが、浴衣を着た観光客や家族連れなど多くの人が祭りを楽しみました。

この日、2600発の花火を打ち上げたのは大分県豊後大野市犬飼町にある「生島煙火」です。1913年、大正2年に創業して以来、県内を中心に九州各地のイベントや祭り会場で花火を打ち上げてきました。

生島煙火・瑞木睦生さん:
「5号玉といって直径15センチくらい。上がって開いた大きさは150メートルくらいになる」


26年の間、花火業に携わってきた瑞木睦生さん。花火を打ち上げるほか、製造や演出、企画まで手がける花火師です。新型コロナの影響で今年の売り上げはコロナ禍前の6割程度と瑞木さんは話します。

瑞木睦生さん:
「(売り上げは)恐らく去年、おととしと比べたら全然増えている。しかし2019年と比べたら全然ですね、全然って言ったら悪いけど数字的にはそんなもん」


午後3時、花火を打ち上げる準備が始まりました。

瑞木睦生さん:
「2020年に打ち上げるはずだった玉がまだ残っている。やっとこういう風に使える日がやってきた」


午後8時45分、花火大会がスタート。色鮮やかな大輪の花が夜空に次々と咲き誇りました。

花火大会では故人を偲ぶ白い菊の花の「供養花火」も打ち上げられました。緊張感が漂う中、1つ1つの花火に思いを込め大切に打ち上げる瑞木さん。会場は、花火を楽しむ歓声で包まれました。

(見物客)「明るい気分になった。ここ2年間ぐらいはみんな気持ちが沈んでいるんで見てよかった」「楽しい気持ち、心が静かになった」「子どもが初めての花火大会だったので来れてよかった」

瑞木睦生さん:
「打ち上げは問題なくできました。僕らもこの2年3年、色んなものを犠牲にしてきたが、これから(良い方向に)変わっていくと思う」


コロナ禍3度目の夏。思いが詰まった花火は観光客や地元の人に夏の思い出を届けました。