2年前の7月豪雨で甚大な被害を受け、大分県九重町の宝泉寺温泉では今も2軒の旅館が休業を余儀なくされています。こうした中、被災した両親が営む旅館を支えようと高校生の若女将が奮闘しています。
大分市内にある通信制の高校で学ぶ高校1年生の松平ひなたさん。実は九重町の宝泉寺温泉にある旅館、「旅籠彩くら」の若女将です。

ひなたさんは両親が営む旅館を支えようと2022年4月から働いています。
(旅籠彩くら・松平ひなたさん)「木や石がつまって、水がせき止められた。その影響で水が溢れて旅館に入ってきた」
2020年7月豪雨で大きな被害を受けた宝泉寺温泉。「旅籠彩くら」にも容赦なく濁流が襲い、離れの宿泊棟やフロントなど11棟全てに土砂が流れ込みました。

(松平ひなたさん)「水害で宿をみた時に泥だらけでこの先、やっていけるのかなという不安があって、お父さんお母さんの支えになりたいと思った」
被災後は復旧工事を行い「旅籠彩くら」は5か月後に営業を再開しました。
豪雨から苦労している両親の姿を毎日、見ていたというひなたさんは学業にも励みながら家業を継ぐことを決意しました。

現在は受け付けや電話の対応をはじめ予約の管理と客室の確認を担当しています。
(利用者)「とても丁寧で15歳とは思えなかった」「大分の良さをいろんな方面に広げてもらえれば」
1人前の女将を目指し、1日1時間は正しい接客の方法や言葉使いの習得に励んでいます。


若女将となって4か月足らず。社長で父親の努さんからみたひなたさんは…

(松平努社長)「大人になるために覚えていかない一般常識も仕事と別に覚えていかないといけないので、普通の人よりは苦労しているのでは。頑張っています、一生懸命」
(松平ひなたさん)「早く一人前になって、スタッフやお客様から頼りにされる素敵な女将さんになりたい」

豪雨災害をきっかけに家業の旅館を支えたい。ひなたさんの目には、立派な女将として旅館を切り盛りする自分の未来の姿がはっきりと映っています。