2024年元日のニューイヤー駅伝(全日本実業団対抗駅伝競走大会)に、三菱重工マラソン部が悲願の初優勝を懸けて挑む。 先月行われた「九州実業団毎日駅伝」では8年ぶりの優勝を果たし、チームは今、かつてないほどに総合力を増している。キーワードは「全世代の融合」だ。

世界を知る若きホープ・近藤亮太選手の台頭

チームの勢いを象徴するのが、入社4年目の26歳、近藤亮太選手だ。 今年2月の大阪マラソンでは初マラソンながら日本記録(初マラソン最高記録)を更新。

さらに9月の世界陸上ブダペスト大会では、終盤まで先頭集団に食らいつく粘り強い走りで日本人トップの11位に入るなど、一気に世界の舞台で存在感を高めた。

近藤選手は「ある程度世界とは戦えた。終盤まで先頭争いに加われたのは自信になったし、ひとつ成長するきっかけになった」と手応えを口にする。先月の九州実業団駅伝でも区間賞を獲得しており、今やチームの主力として欠かせない存在だ。

雪辱を誓う主将・山下一貴選手

チームを率いるのは、昨年から主将を務めるエース・山下一貴選手(28)。 前回大会ではエース区間の2区を任されたが、区間15位と苦しみ、チーム順位も後退した。「前回はかなり実力差を感じた。リベンジしたいという思いが強く、この1年間やってきた」と語る山下選手。「自分が走れば優勝も近づく」と、エースとしての走りでチームを牽引する覚悟だ。

チームを支える「駅伝職人」大ベテラン・定方俊樹選手

若手・中堅の躍進を支えるのが、チーム最年長33歳の定方俊樹選手だ。ニューイヤー駅伝には今回で10回目の出場となる。 前回大会では、前半の遅れを後半のベテラン勢が巻き返し、7位入賞まで押し上げた実績がある。

周囲から「駅伝職人」とも称される定方選手は、「私の走る姿で、後輩たちが何かを感じてくれれば」と語り、長年の経験を武器に第一線を走り続けている。

世代のバランスが整った「勝負の年」

17年連続30回目の出場となる三菱重工。これまではベテラン頼みの展開も多かったが、松村康平監督はチームの変化を感じている。

「これまでは上の人間が引っ張るチームだったが、山下を中心に中堅・若手も頑張り、ようやく全世代でバランスの良いチームになってきた。上の選手が頑張ってくれている間に優勝を狙いたい」

近藤選手ら若手の爆発力、山下選手ら中堅の責任感、そして定方選手らベテランの安定感。すべての世代の力が噛み合った三菱重工マラソン部が、元日の上州路で悲願の頂点を目指す。

■放送予定 ニューイヤー駅伝は、2024年1月1日(月・祝)午前7時30分からTBS系列(長崎県内はNBCテレビ)で放送予定。