安田教授が指摘する、今求められること

安田教授:
「一番大切なのは検疫などの体制を整え、輸入症例をきちんと見つけることです。そして国内で患者が見つかった場合、すぐに家族や接触者の検査ができる体制を整えておくこと。世界のどこからでも2日もあれば日本に入ってくる可能性はあります」

「日本の法律でエムポックスは『4類感染症』に分類されているウイルスなので、医師は直ちに保健所に届け出る必要があります。警戒を怠らないこと、想定外のことが起きても対応できるようにしておくことが非常に重要です」

2024年の記事配信後、WHOの緊急事態宣言は終了しましたが、その一方で、懸念されていた重症化しやすいタイプの「クレードIb」の感染者がついに日本国内でも確認されました。国内では、利用できる治療薬が承認されるなど、対策も進んでいます。

安田教授が記事で指摘していた「検疫体制を整え、輸入症例をきちんと見つけること」「国内で患者が見つかった場合、すぐに検査ができる体制を整えておくこと」の重要性が、より一層高まっていると言えます。

長崎大学 安田二朗教授
「新興感染症」の研究と治療薬開発が専門。バイオテロ対策等としてのウイルス・細菌の検知システム開発で2014年には文部科学大臣表彰科学技術賞受賞。「ブラジルにおける新興・再興感染症制御研究の推進」が日本医療研究開発機構(AMED)に採択されたことを受け、長崎大学が2024年ブラジルに設置した研究拠点も率いる。