天皇皇后両陛下と愛子さまは、12日午後、長崎市の原爆資料館で被爆者らと懇談しました。
このうち、長崎県被爆者手帳友の会の会員で101歳の中村キクヨさんは、
「21歳の時に被爆しました。親戚はみんな亡くなってしまいました。平和が一番大切だということを皆さんにお伝えしたい」と語りました。
天皇陛下は「ご親戚が亡くなられたのですか」と尋ねられ、中村さんは「遺骨はまだ見つかっていません」と答えました。
両陛下と愛子さまは、車いすに座った中村さんの話に身をかがめて耳を傾けられました。
懇談後、取材に応じた中村さんはこう振り返りました。
「私の姪や叔母が亡くなったので遺体を探しに、原爆が落ちた翌日行きました。その時の状況をお話しくださいとおっしゃったので、『人間が山のように積まれ、動物のように積まれて扱われていました。戦争のむごたらしさをこの身で感じました』と伝えました」
皇后さまは「本当に長い間ご苦労様でした。どうぞお身体を大事になさって、これからも少しでもご活躍ください」と声をかけられ、愛子さまも「若い方にもお話をなさるんですか」と質問されたといいます。
中村さんは「体は動きませんが、若い方に戦争がどんなものであるかを少しでも伝えています」と答え、愛子さまからは「頑張ってください」と励ましの言葉があったといいます。
中村さんは「101歳にもなって、天皇ご一家とお話ができ、一生懸命やってきてよかった、この思いが無駄ではなかったと思って涙が出ました。私たちの言葉を聞いていただき、本当にありがたく思っています。被爆者がどんな思いで生きているかを、外国でも伝えていただければ」と語りました。