”海の課題” をテーマに、全国55チームの高校生が缶詰を製作するコンテスト『ローカルフィッシュ缶グランプリ』
コンテストに参加する長崎の高校生のチームが、あまり知られていない『おいしい魚食資源』を開拓しようと、”早く・安く” 養殖可能な『長崎でよくとれる魚』で勝負に挑んでいます。

(調理実習室の高校生たち)
「みりん、バターある?」
「塩?塩はいらん」

長崎市の長崎鶴洋高校の3年生。チーム『ユニコーン』のメンバーです。
魚の缶詰で使うタレの味付けを研究・開発しています。
缶詰の主役となるのはウスバハギ ── 長崎の海でよく採れる魚です。

■ 長崎のおいしい魚を全国区に

長崎鶴洋高校3年生 北島 悠陽さん:
「漁師さんがよく採れる魚。ウスバハギの話をよく聞いていたので、どうにかして利用できないかということで、この魚に決めました。」

つぶらな瞳に大きくて平べったい身体。
五島沖など暖かい海域に生息している魚で、別名はナガサキイッカクハギ。
成長すると重さ2キロ。体長は50センチにもなる長崎ではよく知られた大型のカワハギです。

チームユニコーンの名前は、その特徴的な角から付けました。
高校生たちは、ナガサキイッカクハギの缶詰で『LOCAL FISH CANグランプリ2022』に挑みます。

このコンテストは、日本財団『海と日本プロジェクト』の一環として去年から行われていて、地域活性化のため”海の課題”をテーマに、全国55チームの高校生が缶詰を製作します。
チームユニコーンが使うナガサキイッカクハギは、長崎でも心配されている ”ある問題” を解決する魚として期待されています。

気象庁や農水省の研究では、この100年間で日本近海の海水温は約1.2度上昇し、『魚の生息域』が変化してきているのです。
長崎県も海の環境変化に対応できる、養殖に適した『次世代の魚』の検討を始めています。
■ 海の温暖化でも『速く』『安く』養殖可能!

長崎県総合水産試験場 種苗量産技術開発センター 魚類科
山田 敏之 科長:
「これ今年6月からの種苗生産。卵からかえした魚です。」

ウスバハギは、暖かい水温に適応できるほか、エサをよく食べ 成長が早く、わずか4か月で1キロになります。
長崎県の主要な養殖魚であるブリやタイと比べ ”半分以下の期間で大きく” なり、”エサ代は3分の1程度” です。


山田 科長:
「非常においしいです。身そのものは淡泊なんですけど、肝が大きいので『肝醤油』等にすると刺身が濃厚になる。
すごく歯ごたえあります。色が綺麗なので鍋なんかにも向きますし、色々な使い方ができる魚です」

一方で、そのおいしさは全国的にあまり知られておらず、缶詰作りを通してブランド化し、『商品化への道』が開ければ、長崎の漁業に貢献できるかもしれません。

山田 科長:
「大きな魚で、美味しい魚で、しかも ”お手頃な価格” になる可能性があるので、主要な魚種──マグロなどを補うような形で、漁業者の利益になるようなことを期待しています」
