「あなた」の後ろ姿は見失ったけれど
詩人・児童文学作家 藤川幸之助さん(62):
「改めて思うのは、僕は、谷川さんの『表現の心地よさ』に心を打たれていたんだなということ。谷川さんのような作品を書きたいと思っても、複雑な思索を、あんなに単純で素敵な言葉には簡単に表せないんです」
「私が初めて出会った谷川さんの『道』という詩では、詩の中の『私』が、日々の地図をたどって『あなた』を追いかけていき、やっと山々を望む野に出たと思ったとき『あなた』の後姿を見失ってしまう」
「ぼくも、『あなた』である谷川俊太郎を必死に地図をたどって追いかけ、ようやく詩人として独り立ちすることができ、次に進もうとしている時に別れが来てしまった」
「『私』は『あなた』の後姿を見失ったけれど、僕の中にしっかりと刻まれた谷川俊太郎がいます。これからは、谷川俊太郎の背中ごしにこの世界を見るのではなく、自分の足でこの『道』を歩いていきたいと思っています」
「僕は谷川さんの足もとにも及ばないですけど、それでも、書きつないでいかないと。『受け継いで』と言われたわけじゃないですけど、引き継いで。しっかりと、生きていこうって」

谷川俊太郎さんへ
【谷川さんのおかげで「こんぐらかった道」もほどけはじめました。
とてもさみしいですが、谷川さんのことだから この地球に姿はなく
