「何にもならないかもしれないけど、何かになるかもしれない」

その本の作者が、都城市に暮らす竹原由紀子さん、86歳。
地域の語り部として20年以上、「かっぱ伝承」を語り継ぐ活動を続けています。


(記者)
「がらっぱ(かっぱ)の話はたくさんあるんですね」
(竹原由紀子さん)
「いっぱいあります。三股の長田峡には銅像がいっぱいあるでしょ。川内川からきて、がらっぱが庄内の滝にがらっぱ一家が住んでいたんですよ。こういう昔話を伝えるというのは、何にもならないかもしれないけど、何かになるかもしれない。そう思ってやっているんですけどね」


アニメーションの制作が決まると、竹原さんは「かっぱ伝承」が残る場所に若見さんを案内し、様々な話を伝えました。

およそ1年の制作期間を経て完成した作品は、方言を交えた竹原さんの語りが生かされ、郷土の風景を思い起こさせるあたたかなアニメーションに仕上がりました。

(竹原由紀子さん)
「これは地域のみんなで作ったような話で、友達もみんな加勢してくれたので、集大成。本当に一心同体で作りました。ありがたい。もう二度と私の人生ではないでしょう」

アニメーション作品で地域の伝承を繋いでいきたい

こうして完成した作品は、短編映像のコンクール「映文連アワード」でグランプリに次ぐ文部科学大臣賞を獲得するなど数多くの賞を受賞しました。


作品の制作を通して地域の人たちの思いに触れた若見さん。
コロナ禍で人との関わりが減る中、こうしたアニメーション作品で地域の伝承を繋いでいきたいとしています。

(アニメーション作家 若見ありささん)
「世代を超えたことがアニメーションで出来ると思っていて、民話とか口承とか、語りとかそういう残るべきものだったり、地域の財産をコロナで途絶えてしまわないようにできたらいいなと。(伝承には)その地域を守ってきた方々からのメッセージがあると思うので、子どもたちに代々、そういったものがその土地に伝わるといいなと思います」

※MRTテレビ「Check!」1月9日(祝・月)放送分から