今年6月から断続的に噴火を繰り返している霧島連山の新燃岳は、28日未明の噴火では、噴煙が火口から5500メートルまで上がりました。
こうした中、28日は、宮崎県庁で自治体関係者や専門家らによる協議会が開かれ、霧島連山の火山活動と防災について意見を交わしました。
気象台によりますと、28日午前4時53分、新燃岳で噴火が発生。噴煙は、火口から5500メートルまで上がりました。
噴煙が5000メートル以上上がったのが確認されたのは、7月3日以来です。
麓の都城市では車に火山灰が降り積もったり、道に積もった火山灰が車が通るたびに巻き上げられる様子がみられました。
今回の噴火について、気象台は「鹿児島県霧島市と都城市の一部でやや多量の降灰を確認した」と発表。午後2時50分に連続噴火は停止したということです。
今年6月22日以降、断続的に噴火を繰り返している新燃岳。
県庁では、28日、霧島連山の火山活動や防災について話し合う協議会が開かれました。
会議はオンライン形式で開かれ、霧島連山の周辺自治体や火山の専門家などおよそ30人が出席。
会議では、まず、宮崎地方気象台が、現在の状況について説明しました。
(宮崎地方気象台 晴山 智 台長)
「7月から山体の膨張が停滞していると説明している中で本日の噴火となり、本日は収縮しているところで、今後また伸び(膨張)に反転するのかというのを継続的に監視を続けていきたいと思う」
また、国土交通省は、細かい火山灰が堆積することで火口付近の土砂が流出し、7月、一部で土石流が発生した可能性があると指摘。
火山の専門家も、今後はこうした被害にも注意が必要と警鐘を鳴らしました。
(京都大学 石原和弘名誉教授)
「これからは桜島のように火山灰がしつこく噴出して、雨が降ったときに土石流や泥流になる。そういう事態になる・続く可能性があると見るべきだと思う」
また、石原名誉教授は、今後、仮に地震の回数や火山ガスの放出量が減少しても、防災の観点から観測や情報提供を続けることが必要と訴えました。
(宮崎県 河野俊嗣知事)
「さまざまな関係機関が必要な観測を行い、必要な情報を共有し、安全の徹底をしながら、必要な情報を県民にしっかり提供していきたい」
2か月以上にわたって活発な火山活動を続ける新燃岳。
気象台は、火口からおおむね3キロの範囲で大きな噴石などに警戒を、また、爆発による空振に注意を呼びかけています。