あす8月9日、長崎市は原爆が投下されてから80年の日を迎えます。
平和祈念式典が行われる長崎市の平和公園から、MRT報道部の三浦功将記者が中継で伝えます。

三浦功将記者
長崎市の平和公園からお伝えします。
こちらでは、あす、被爆者や世界各国の政府関係者などが出席する平和祈念式典が執り行われます。

毎年、式典では、核兵器の廃絶と平和の願いを世界に伝える長崎平和宣言が発表されます。
実は、今年の平和宣言には、宮崎県高鍋町出身の20歳の大学生が関わっています。
どのような思いが込められているんでしょうか。

(去年の平和宣言)
「核保有国と核の傘の下にいる国の指導者の皆さん。核兵器が存在するが故に、人類への脅威が一段と高まっている現実を直視し、核兵器廃絶に向け大きく舵を切るべきです」

去年の長崎平和宣言

長崎市から世界に向けて発信する平和宣言。その内容を作成するのが「起草委員会」です。

今年も長崎市の鈴木史朗市長を委員長に、長崎県内の有識者や平和活動に取り組む団体、それに、被爆者などあわせて15人がメンバーとなり、5月から3か月間にわたって会合が行われました。


(川越佳梨さん)
「この表現では、一部の当事者だけでに責任を帰するような印象を私は最初に感じてしまった」

「起草委員会」のメンバーには若い世代の姿も。高鍋町出身で長崎大学3年生の川越佳梨さんです。


川越さんは去年11月から長崎県内の大学生で構成され、核兵器の廃絶を目指す「ナガサキ・ユース代表団」として活動。

今年4月にはニューヨーク国連本部を訪れ、来年の核拡散防止条約、NPT再検討会議に向けた準備委員会に参加し各国の政府関係者らと面会したほか、核政策について専門家と議論を交わしました。


(川越佳梨さん)
「(被爆)80年だからこそ、世界からの注目が例年よりすごく高いと思っているし、今までそういうのを考えたことがなかった人にも届く可能性があるので、そういった面で意味のある平和宣言文、そして、祈念式典になるといいと思っている」

被爆80年となるあす。
川越さんの思いも込められた平和宣言が世界に向けて発信されます。

きょうは川越さんに来ていただきました。よろしくお願いします。
川越さんは長崎の大学に進学したことをきっかけに、平和に関する様々な学びをしてきたということですが、今どのような思いでいますか?

(左)MRT 三浦功将記者 (右)川越佳梨さん

川越佳梨さん
一番感じているのは、核問題や平和問題の本質を知ることの重要性です。
長崎に来て学ぶまでは、そういった問題のことを表面的にしか知りませんでした。
しかし、物事一つ一つの背景ごと理解して、深く知ることで自分の意見や考えを持つことができました。
自分はこう思うからこうしたいんだ、という風に行動につながるプロセスが生まれたので、本質を知ることは重要だと思いますし、そういうきっかけとか取り組みが多いのが長崎の特徴だと思います。

三浦功将記者
そうした中で、起草委員会のメンバーとしても様々な提言をしてきたと思います。どのような提案をしてきたのでしょうか?

川越佳梨さん

川越佳梨さん
はい。私は生まれも育ちも宮崎なので、核問題や平和問題を考える機会も知る機会もすごく少なかった自身の経験を踏まえまして、そういった問題を身近に、そして自分事のように当事者意識を持てるような取り組みの必要性を訴えてきました。
また、今、漠然と「平和のためにどう動いたらいいんだろう」と分からない人たちに、具体的に行動を示せるような、そういった文言を入れてほしいという提案をしてきました。

三浦功将記者
あす、世界にその平和宣言が発信されますが、どのようなメッセージが届くことを期待しますか?

川越佳梨さん
力強く、見る人、聞く人の心にダイレクトに伝わるような宣言文になってほしいなという風に思っています。
平和宣言文は、起草委員会を通じて、被爆者や様々な分野の専門家、そして、私たちのような若者、平和活動家など、色々な角度からの平和を考えて、一人一人が代表で来ていたとしても、それぞれの思いが込められているので、そういった心からの思いが誰かの心に残り続けるような、行動を起こすきっかけになるような、そういった宣言文になると信じています。

三浦功将記者
川越さん、ありがとうございました。
あす、祈りの日を迎える長崎市の平和公園から中継でした。

※MRTテレビ「Check!」8月8日(金)放送