生物多様性を守る取り組みについてです。
宮崎県綾町で企業が行う森づくりの活動が新たに環境省の「自然共生サイト」に認定されることが内定しました。
「自然共生サイト」とは、環境省が昨年度から設けている制度で、「民間の取り組みなどによって生物多様性の保全が図られている区域」を認定するものです。
今回、新たに自然共生サイトに認定されるのが「綾町イオンの森」です。
どのような取り組みが行われているのか取材しました。
必要な森自体は維持して、一部の部分を利活用
国内最大規模の照葉樹林が広がり、2012年にユネスコエコパークに登録された綾町。
(綾町ユネスコエコパーク推進室 河野円樹係長)
「2013年ごろから地元の構成樹種などを中心に木を植え始めて、それが育っているのを見守っている場所になります」
この日、綾町ユネスコエコパーク推進室の河野円樹係長が案内してくれたのは、「綾町イオンの森」です。
ここは、もともと町有林が伐採された跡地で、2013年から「イオン環境財団」が植樹活動を実施。
現在、高台には、およそ10年前に植えられた木が大きく成長しています。
今回、この綾町イオンの森と山のふもと付近にある割付地区の日向夏畑が、生物多様性の保存が図られているとして環境省の「自然共生サイト」に認定されることが内定しました。
(綾町役場ユネスコエコパーク推進室 河野円樹係長)
「イオンの森の一番の狙いは、ただ木が育って森になるだけでなく、ゆくゆくは木の材を上手く活用して地元の工芸家にいろんな用途として使っていただく、使用していきながら、利活用しながら、必要な森自体は維持して、一部の部分を利活用させていただくという」
山を降りていくと木の種類に変化
綾町イオンの森では、山を降りていくと木の種類に変化が。
(綾町役場ユネスコエコパーク推進室 河野円樹係長)
「これはサザンカかなんかだと思います。これも花が咲く木ですので、こういったのを主にこのあたりには植えてます」
山の中腹には花を咲かせる木を植えていて、昆虫が住みやすい環境を整えています。
(綾町役場ユネスコエコパーク推進室 河野円樹係長)
「ここを降りていきますと、すぐ日向夏畑が出てきますので、ミツバチとか昆虫もよってくれるようになって、ここと日向夏畑がより行き来しやすくなる」
山のふもと付近にあるのが「日向夏みかん畑」。
日向夏は、別のかんきつ類の花粉で受粉し実をつけるという特徴があり、そこで力を貸してくれるのが「二ホンミツバチ」などの昆虫です。
(綾町役場ユネスコエコパーク推進室 河野円樹係長)
「二ホンミツバチが日向夏の生産にも手助けしてくれるということなので(日向夏生産農家が)個人的にミツバチのすみかとして使えるような巣箱を何か所かイオンの森の中にすでにおいていただいている。ミツバチにとっても住みやすい環境作りに貢献していただいているのかなと考えている」
今後の新しいステージに向かって
これまでの植樹の取り組みや花粉を運ぶ昆虫が「日向夏みかん畑」に実りをもたらしていることなどが評価された「綾町イオンの森と割付地区の日向夏畑」。
「自然共生サイト」への認定で、今後、さらに注目が高まりそうです。
(綾町ユネスコエコパーク推進室 河野円樹係長)
「自然と共生する場として認定されたことは、今までの取り組みが生かされて、今後の新しいステージに向かって進められる、いいきっかけになったなというふうに感じています。単なる森づくりだけではなくて、今後の場所の利活用とかを具体的にこれから先は考えて進めていきたいと思っている」
県内では4か所目となる「綾町イオンの森と割付地区の日向夏畑」の自然共生サイトへの認定は、今月21日に正式決定します。
※MRTテレビ「Check!」10月1日(火)放送分から