技術者の高齢化が進み人材の不足が課題の建設業界。
解決策の一つとして作業の効率化を図るため現場では情報通信技術=ICTを採用する企業が増えています。
これまでのイメージから様変わりしつつある建設業界を取材しました。真柄建設が施工している国道159号・金沢外環状道路観法寺パーキングエリアの工事現場です。
パーキングエリアをつくるため山地形の土を削る作業が行われています。
ここで使われている重機はバックフォーと呼ばれるショベルカーですが、中にはあらかじめ土を必要以上に深く削らないよう自動で管理できる機械が使われています。
これによって経験が少なくても熟練したオペレーターと同じように操作でき、人手不足を補うとともに生産性にも効果を発揮しています。
現場事務所には現場の全体を24時間映し出すモニターが置かれています。
映像はスマートフォンなどでも見ることができ、現場にいない社員にも共有され、作業の進捗状況がわかります。
さらに、エブリーデイドローンと呼ばれるこのドローンは、上空からの撮影とは別に飛行経路を設定すれば、自動制御で写真測量が可能で操作技術がなくても誰でも同じデータを取ることができます。
「日々、人が土量管理していたのを機械で一元的に管理することによって2人かけて何時間もかけて取っていたデータが20分くらいで取れる」(真柄建設工事課 北原正課長代理)
また、多くの現場でウェアラブルカメラも採用。
作業員の目線で現場の状況が本社など現場から離れた場所からでも確認できるようになり、工程の確認に現場を訪れる社員や発注業者の移動が不要時間の削減につながっています。
こちらは小松市八幡の国道8号・小松バイパスを4車線化する道路拡幅工事の現場です。
道路舗装を行っている北川ヒューテックでは路面をならすために使用するグレーダーと呼ばれる重機での作業にICT技術が採用されています。
あらかじめ設計図を入れたTS=トータルステーションという装置からレーザー光でデータを送り、それを読み込んだグレーダーがデータに基づいてブレードの高さを自動で調整することによって作業がスピードアップし仕上がりの品質も向上。
技量が不足しているオペレーターでも操縦できます。
また工事現場では完了した部分の品質管理を行うときにこれまではリボンロットと呼ばれるメジャーのようなもので道路の幅などを4、5人で計測していました。
今はTLS=地上レーザースキャナーと呼ばれるレーザーを連続的に照射して立体的にスキャニングして映し出すことができる機械を用いることで、より確実に現場管理ができるとともに省力化にもつながっています。
今までは巻き尺使って現地で確認していた幅はわかるけど高さはわからないというのが今までのやり方だった(オペレーター)
「1人で作業ができること、計測時間も約半分近くに短縮できる。これからは3次元の点群は立体の形になるし、設計データも3次元モデルに一目でわかるような設計データになると思う」(北川ヒューテック技術研究所 坂本吉広主幹)
2024年4月からは運送業界などともに時間外労働の上限規制が適用される建設業界。
労働環境の改善に向けて情報通信技術の活用が不可欠になっています。