民法の「意思能力」が争点に
裁判の争点となっているのは、澁谷さんに当時、3億円を寄付するという行為が認識できたかどうかです。
民法3条の2は「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は無効とする」と定めていて、自分の行為の結果が認識できる「意思能力」がなければ、その行為は効力が無かったことになります。
例えば、幼い子どもが高額なおもちゃを自分で買ってしまったとしても、子どもは自分のしたことの結果が認識できないので、買い物の契約は無効となります。
同じことは認知症の患者にも当てはまり、当時、澁谷さんが認知症で、自分の財産を管理できない状態だったと言えれば寄付は無効となり、その立証ができなければ寄付は有効となります。
金沢医科大学病院は、澁谷さんには当時、認知症の症状がなかったと主張していて、裁判所がどのような判断を示すのか、今後の訴訟の行方に注目です。