事故を起こしたバスを運行していた千葉県内の会社は、国土交通省の監査で、日雇い労働者を運転手にしたり、点呼を行わないといった28件の違反が見つかり、ずさんな運行管理体制が明らかになりました。

防音壁に衝突した高速ツアーバス
事故を教訓に国は制度を見直し、生き残りをかけた過度な価格競争が問題視されていた高速ツアーバス制度を廃止。翌年には運転手1人が夜間に走行できる距離を670キロから400キロに短縮しました。

事業者も安全意識の向上に取り組んでいます。金沢から東京や大阪、仙台などへ高速バスを運行している西日本ジェイアールバスの金沢営業所。関越道の事故と同じ区間を走行する総距離500キロ以上の東京線は、途中、長野県内のサービスエリアで同じJRグループの運転手に交代することで、1人当たりの負担を減らしています。

西日本ジェイアールバスの東京線 途中長野で運転手を交代する
ハード面の技術改良も進み、営業所から遠隔でドライブレコーダーの映像を監視できる仕組みを導入しています。金沢営業所の村瀬知史担当所長は「バスが車線を逸脱したり、前の車に接近したりするとアラートが鳴る。状況が詰まるようなら乗務員に無線で呼びかけて確認する」と説明します。

営業所からは遠隔でドライブレコーダーを確認できる
最新式の車両には、運転手が意識を失うなどの異常が発生しても、乗客の手だけでバスを制御できるシステムを搭載。最前列の天井に取り付けられたボタンを押すと、警告音が鳴り響き、ハザードランプを点滅させながら自動で停車します。

自動で停車する非常ブレーキのボタン
金沢営業所の山田一貴所長は「お客様の大切な命と財産を運ぶ。全運転手が共通認識として安全最優先で取り組んでいくことが最も重要」と語ります。

西日本ジェイアールバス金沢営業所の山田一貴所長
会社は、コロナ禍で大きな打撃を受ける中でも、乗客の命を守り抜く経営を模索し続けています。

しかし、多くの事業者が改善に取り組む一方で、2016年には軽井沢のスキーバス事故で大学生ら15人が犠牲になるなど、安全を脅かす事例は後を絶ちません。

2016年に発生した軽井沢スキーバス事故
そして4月には北海道・知床で26人が乗った観光船が沈没する事故が発生。遺族は、し烈な価格競争が招いたこれらの事故には多くの共通点があると話します。