金沢大学の学生寮「泉学寮」が3月末で廃止される問題をめぐり、現在も生活する寮生たちが27日、会見を開き、大学側への要望を訴えました。

金沢大学4年 冨樫洋乃輔さん「この寮に入ったからこそ、金沢大学に通うことができたという寮生もいる。自分たちの母校がなくなってしまうことに対して不満を感じる」

金沢大学4年 冨樫洋乃輔さん

金沢大学が建物の老朽化などを理由に、3月末での廃止を決めている学生寮「泉学寮」は、1か月前に迫った今も、およそ50人が暮らしていて、10人ほどの学生は新たな住居がまだ見つかっていません。

これまで廃寮反対を訴えてきた学生たちは、27日の会見でこれまでの経緯や思いを訴えました。

冨樫さんによりますと、大学側が廃寮の理由に掲げているのは、老朽化や不採算性、寮の不人気、周辺不動産業への圧迫だといいます。

特に老朽化については、雨漏りなどが出ている状況だと言いますが、冨樫さんは文科省に確認したところ、耐震基準は満たしていたと話します。

金沢大学の泉学寮

また、去年2月以来寮生との対話の場が設けられていない点などにも、疑問を抱いているとします。

約1年かけて集めた"4132人分の署名" 大学側に提出

学生たちはこれまで寮の存続などを求めて署名活動を行ってきていて、27日、冨樫さんは大学側に4132人分の署名を提出しました。金沢大学の角間キャンパス前で、これまでの大学側の対応に対し「金沢大学よ、学生をなめるな」と拡声器を使い呼びかけた冨樫さん。署名活動は去年3月から始めていました。

署名提出に向かう寮生たち

退寮の期限が迫る中、27日の会見で、学生たちは大学側に対し譲歩する姿勢を見せました。
これまでは廃寮反対を掲げていましたが、27日の会見では現役の寮生が卒業するまで、または新しい住居が決まるまでの存続を求める形に。学習を続けるために、まずは生活が大事との決断だったといいます。

また、意見のある寮の学生と大学との意見交換の場や、廃寮がやむをえない場合には、現在住居の決まっていない学生への住居支援の要請も求めるとしました。

一方、政府や文科省には学生政策の在り方を根本から考え直すよう、求めます。