おととし2月、石川県野々市市の当時中学校1年の女子生徒が自殺した問題で、第3者委員会はいじめがあったと認定しました。これを受け今月3日、保護者説明会が開かれましたが、参加者からは「納得がいかない」「子どもに説明できない」など厳しい意見があがっています。

野々市市・大久保邦彦教育長
「ご冥福をお祈りしますとともにご家族の皆さんにお悔やみ申し上げます」

今月2日、遺族に対し謝罪の言葉を述べた野々市市の大久保教育長。この問題は、野々市市の市立中学校に通っていた当時1年生の女子生徒が、学校のアンケートでいじめの被害を訴えていたにも関わらず、学校側が市の教育委員会に対し「いじめは解消した」と報告していたもので、女子生徒はおととし2月に自宅で自ら命を絶ちました。

学校は“陰口”だけしか認知できなかった?

第三者調査委員会は、およそ半年間にわたって女子生徒が受けた29の行為をいじめと認定する報告書を公表。

29行為の中から一部を抜粋(調査委員会の報告書より)

報告書によりますと、亡くなった女子生徒に対する29の行為をいじめと認定していますが、その中から一部を抜粋したものが上記の画像です。
・LINEでグループから外す
・男子生徒の前で土下座させようとする
中には
・リストカットの痕を見せるよう求める
といった行為も含まれています。

これらのうち当時、学校側が市教委へ報告していたのは
・陰口を言う
という行為1つだけだったということです。

「生徒も親も、学校に相談していたのに…」

記者リポート「午後7時前の野々市市役所です。保護者が続々と集まってきています。“報道関係者立ち入り禁止”の貼り紙がはられていて、説明会は非公開で行われます」

今月3日、市役所で開かれた保護者説明会。集まったおよそ100人を前に冒頭、市教委側が謝罪、報告書の内容が説明されたあと、質疑応答の時間も設けられました。

およそ2時間半にわたる説明会を終えた保護者は…。
「こっちが質問したことに、ろくに答えが返ってこない」「何一つ納得していない。亡くなった女子生徒は学校に相談していたし、親にも相談して、親も学校側にちゃんと相談していたにもかかわらず…」「どの答えも具体的じゃないので、結局どういう位置づけの会だったのか」(参加した保護者ら)

亡くなった女子生徒の父親は対応に憤り



説明会への中学校からの出席者は現在の校長だけに限られ、女子生徒が自殺した当時の校長や教員の姿はなかったということです。説明会にも出席した女子生徒の父親は、市教委側の形式だけの対応に憤ります。

「“何もしなかった”と、そう報告書に書かれている教員は誰一人来ていない。正直2年間、学校は何やってきたんだ。ふざけるなとしか言いようがない」(亡くなった女子生徒の父親)

学校側は「報告書の内容を精査しいじめ防止対策や自殺予防対策の改善を図り、子どもたちとしっかり向き合っていきたい」としています。

しかし在校生や保護者の信頼を回復するためには、なぜ学校側が当時「いじめは解消した」という判断に至ったのかをしっかり説明し、保護者の意見や調査委員会の報告結果を真摯に受け入れる必要があるのではないでしょうか。