新型コロナウィルス第8波の感染者が増加するなか、高齢者を中心に亡くなる人も連日、報告されるようになりました。石川県内では16日、新たに410人の感染と4人の死亡が確認されました。厚生労働省によりますと、今月10日までの1週間に全国で新型コロナへの感染で亡くなった人は4万9614人。このうち、95.4%が60歳以上でした。

では、石川県ではどうなのか。
県は亡くなった人の年代について、遺族の許可を得ていないとして非公開としていますが、担当者は「県内の死者もほとんどが高齢者で、概ねこのグラフに近い形」と話しています。国が感染者の全数把握を見直して3か月余り経ち、クラスターの発生状況など見えなくなった部分があることも確かです。今の感染状況について、高齢者を中心に最前線で対応を続ける保健所を取材しました。
電話応対する保健師
「療養期間の間は一日一回体調の確認をさせて頂きたいもので…」

金沢市保健所では去年9月に感染者の全数把握が見直されて以降、保健所による調査は65歳以上の高齢者や基礎疾患を持つ人など、重症化のリスクが高いとされる人が中心になりました。保健師に話を聞くと「私たちが電話させて頂いているのは65歳以上の方々なんですけど、高齢の方からの電話がかかってくるというよりかは施設関係の電話が多い」と説明します。
保健師の口から出た「施設関係の電話」とは?
保健所には高齢者施設からの感染報告や、入所者の療養期間についての問い合わせも入ってきます。
電話応対する保健師
「熱も普通通りですし、あした療養を解除して頂ければと思いますので…」
リスクが高い感染者に集中して対応できるようになったものの、感染者の数は高止まり。保健師は「決して楽になったわけではない」と話します。
16日に開かれた金沢市議会の市民福祉常任委員会。
市内のひと月あたりの感染者は先月、過去2番目に多い1万4188人に上り、「今月に入ってからも依然として増加傾向にある」と市側から報告されました。一方で、全体像の把握には限界がある実情も、ここにきて浮き彫りになってきました。

質問する市議
「全数把握を止めてしまってから全容をつかむのは到底困難な状況の中、医療現場の実態は掴めているのか?」
答弁に立つ金沢市・藤本地域 保健課長
「コロナ死の増加は色々な理由が報道されているが、実態がなかなかわかっていないのが現実」
市によると、感染者が出た高齢者施設などから要望を受けて、現場に保健師を派遣するケースが増えていると言います。
藤本地域保健課長
「12月は10件以上の高齢者施設に支援に入っていまして。死者は、やはり高齢者が大きな割合を占めると思っている」