ジャッジをしないこと、それが小説

桜木: 学生から、登場人物のキャラクター作りについての質問がきています。

ヒコロヒー: これはもう、お笑いの人間からの影響だと思います。本の中には、何度も浮気を繰り返す男性なども出てきますが、芸人の世界ではよくある話なんです。善悪でジャッジすれば「なんてひどい男なの」となるんでしょうけど、私にはそれを否定できない。本命の彼女がいても、他の女の子のおっぱいを触りたくなっちゃう気持ちとか、誰が本当に否定できるんだろう、と。だから、良い悪いで判断するのではなく、「こういう人もいるよね」というジャッジレスな視点で書こうというのはありました。

桜木: 今「ジャッジレス」という言葉を聞いて、この人はもうすでに筋肉がちゃんとついている人なんだと思いました。書き手が善悪を決めてしまうと、その小説は死んでしまう。小説で一番大事なのは、ジャッジしないことなんです。20年、30年やって、ようやくそこに行き着くんですよ。素晴らしいです。

ヒコロヒー: とんでもないです。

【後編】に続く。ヒコロヒーが今、書きたい小説に迫る。