「翼音が生きていた証はこのフクロウ」家族が今日を生きる源に

翼音さんのあとを追うように店に立ち始めた鷹也さん。

「僕も今だからこそ少しは慣れてきましたけど、最初はもう出来ないことばっかりで。翼音は接客とか、苦手なほうやと思うんですよ。でもいつの間にかね、人前に出て喋ってるとか、信じられなかったです」

店に立つ祖母・悦子さん(左)と父・鷹也さん(右)

商品が売れない時には「お金はいらんよー」と祖父母に伝え、自分の小遣いよりも家族を助けたいという気持ちが強かったという翼音さん。

奥能登を襲った豪雨から1年。翼音さんは、家族が今日を生きる源になっている。

鷹也さんは、「ずっと近くで見てくれてると思います。亡くなってもこうして家族を助けてくれているので、感謝していますね。すごいですよね、いなくなってるのに。普通は助けられないじゃないですか」と翼音さんを思う。

祖父の誠志さんは、「元気な時にこういうのを一緒に作ることができたことはせめてもの救い。翼音が生きていた証はまさにこのフクロウかなって思っています」

フクロウを描く祖父・誠志さん(今年9月、石川・野々市市)

カップに描く「2羽のフクロウ」に、翼音さんが生きた証をこれからも残し続けていく。